【第1回物流不動産塾】
まず、物流コストというのは、大変あやふやなものです。しかし、その中でも輸送コストの割合が多いことは言われています。その輸送コスト削減のために、物流不動産はなくてはならない存在なのです。それを見ていきます。
物流は、生産のための原材料調達から、小売店への配送、最終消費者への宅配まで、すべてのモノの動きを指します。その物流コストは、輸送や保管だけでなく、倉庫内作業、情報処理システム、管理業務にかかる費用の合計になります。しかし、企業ごとに勘定科目が異なるため、正確な数値を把握することができません。
唯一、日本ロジスティクスシステム協会が会員企業へのアンケートから推定しています。アンケートからはじき出された日本の物流コストは、約42兆円(日本のGDP換算で8%)となり、そのうち約60%が輸送コストとなっています。しかし、この調査では、自社物流費や自社の車両(自家用トラック)のコストが反映されていません。企業によっては工場内物流費を製造費として計上しているところもあります。実態の物流コストは60兆円以上だと見込むことができると考えています。そして、その大半が輸送費のため、物流改善=輸送コストの削減という図式が成り立ちます。
それでは、物流費の大半を占める輸送コストの削減は、どのようにやっていくのが合理的なのでしょうか。ただ、運送会社を値切るというのでは芸がありません。
輸送コストはトンキロに代表されるように、輸送の重量と距離に関係します。さらに、ドライバーの拘束時間とも関連します。倉庫や工場での入出荷作業の待ち時間にも大きく影響します。トラックの実車時間、輸送距離が短縮でき、倉庫内の入出荷作業が効率的に行なわれれば、輸送費の削減の交渉余地が生まれます。そこに、最新の超大型物流施設が活躍するのです。
最新の施設は、立地を考えています。インターチェンジの近くといったアクセスのいい場所にあり、輸送距離を大幅に削減します。そして、ランプウェイを設置し、多層階の建物でも、直接トラックへの入出荷が可能になっています。トラックを接車できるバース数も多く、トラックを待たせることがありません。
エレベーターや垂直搬送機などで倉庫内の動線を描くのに、制約を受けることもありません。
物流不動産は、物流改善の大半の基本要素を満たしたものになります。それゆえ、選択を間違えれば、改善どころか改悪にもなりかねません。物流の改革に、物流以外の不動産・建築といった分野の専用ノウハウが必要になってきているのが、物流不動産業界なのです。
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花房 陵(はなぶさ・りょう)
株式会社イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント。日本物流不動産評価機構 評価員兼推進評議会委員。78年慶応大学経済学部卒。85年頃より地方での新築物流センターの開発支援(運用計画立案)としてコンサル業務に従事。28業種、250ヵ所以上の物流施設で改善指導を行う。物流業務問題点分析とデザインは、新たな設備投資や情報システムを必要としない業務改善手法を得意。著書に、『最新戦略物流の基本とカラクリがよ~くわかる本 -日々進化を遂げる物流活動の全貌とは-』『現場でできる物流改善―コストダウン・品質アップ・指標向上』『Keywordでマスター「物流」のしくみ』がある。


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