企業のCRE戦略が、物流不動産の追い風になるかもしれません。
平成20年4月28日に国土交通省土地・水資源局から「CRE戦略を実践するためのガイドラインおよび手引き」が公開されました。不動産を資産として、企業はただ保有するだけではなく、利益を生む経営資源としての活用をすすめています。しかし、大半の企業では、不動産の活用の仕方が分かりません。ガイドライン・手引きなどを利用して、企業が持つ不動産を物流不動産として活用する道筋を描くことができれば、物流不動産ビジネスとしては大きなチャンスとなります。
まず、CREですが、これはCorporate Real Estateの略です。直訳すると、Corporateが企業、Real Estateが不動産です。日本の法人が所有している不動産は約490兆円になります。そのうち、話題となっているリートや証券化されたものは25兆円規模にまで広がってきています。土地神話の崩壊や、新たな金融手段が確立しつつあるため、不動産を保有するリスク要素が拡大してきているのが現状です。
運輸業の不動産はそのうちの約15%、75兆円にもなるという統計があります(倉庫業は含まず)。物流関連の施設は、倉庫業や荷主企業が持つ物流施設などを含めれば100兆円を超えるものと推定できます。これは日本の法人が所有する5分の1を占める数値となります。不動産戦略の中でも、物流施設への活用がいかに大きなシェアを持っているかが直感で分かると思います。
さて、ガイドラインでは、CRE戦略を以下のように定義しています。
・不動産は企業価値を最大限向上させるための資産として捉える
・企業組織や会社自体の再編も視野に入れ、経営戦略とする
・ITを最大活用して、不動産情報のデータベースを構築する
・全社視点に立った、不動産のガバナンス・マネジメントを重視する
従来、不動産の管理は、散発的・管財的管理にとどまっていました。仮に土地を買うにしても、“ただ安いから”“地主が売ってくれるから”というのが理由でした。売るときは、決算の数値の利益を増やすためといったものでした。そこには、長期的に不動産から収支を得るという視点はありません。
今、不動産の証券化などで、不動産の収支を深く考えるようになってきています。
しかし、企業が不動産の活用を考えても、どう活用すればいいのかは分かりません。そこでアドバイスできるのが私たち物流不動産です。不動産のなかには、物流施設に活用できるものは多くあります。一般の企業はそれを見抜くことはできません。物流施設と借り手とを結び付ければ、仲介として利益を手に入れることができます。また、企業が持つ物流施設も保有から賃貸、証券化への流れにもなっていくでしょう。そういった提案も可能です。案件によって、キーマンが異なってくるでしょう。そこを見抜く力も求められます。
今まで、不動産や金融、証券会社、ファンドといった企業が不動産で利益を手に入れてきました。その考えを、一般企業にも取り入れようというものです。新たな不動産の流れができつつあり、その流れに物流不動産も乗ることができる新しさを持っています。
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花房 陵(はなぶさ・りょう)
株式会社イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント。日本物流不動産評価機構 評価員兼推進評議会委員。78年慶応大学経済学部卒。85年頃より地方での新築物流センターの開発支援(運用計画立案)としてコンサル業務に従事。28業種、250ヵ所以上の物流施設で改善指導を行う。物流業務問題点分析とデザインは、新たな設備投資や情報システムを必要としない業務改善手法を得意。著書に、『最新戦略物流の基本とカラクリがよ~くわかる本 -日々進化を遂げる物流活動の全貌とは-』『現場でできる物流改善―コストダウン・品質アップ・指標向上』『Keywordでマスター「物流」のしくみ』がある。


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