とうとう、空き倉庫と荷主の仲介に成功しました。しかし、そこで終わりではありません。契約という大事な儀式があります。契約の出来次第で、入居から退去までの貸し主、借り主の関係に大きな影響を与えます。
物流不動産ビジネスでは、物流・不動産・建築といった様々な法律が関係していきます。そこを押さえて、しっかりと契約をまとめないと、テナントが営業を開始した後に営業停止といった大きな問題となってしまいます。また、新しい法律や既存の法律の改正などがあり、常にアンテナを張っておくことが、物流不動産の仲介をやっていく上では重要なことになっています。
契約は、法律に則って行いますが、それだけでは必要最小限でしかありません。後々、問題の火種を残すことになります。特に、退去時には、お互いの利害がぶつかり合うため、契約当初の原状や話した言葉を記録に残しておくことが大事になります。
それでは契約において、どんな問題があり、その対応方法を見ていきましょう。
倉庫を仲介する場合は、所有権の確認や抵当権の有無を確認することが第一です。土地や建物の登記簿謄本を入手することで対処できます。また、テナントが各種許認可(事業所登録・営業倉庫申請など)を申請する場合、まずは事前に貸主に報告して、許可を受けておく必要があります。
そして、該当地域の用途条件や都市計画を調査するなど、先に行政に確認し、許認可を受けられないことを避けなければなりません。テナントと貸主の間でのやり取りが増えますので、言った・言わないという事態も考えられますので、文書化にして、お互いの確認を取ることも必要になってくるでしょう。
次に倉庫を賃借する場合のリスクは、権利関係を登記簿で確認することはもちろんのこと、契約内容の各条文には一層気を配る必要があります。不動産関係の事件では、契約時よりも、契約の途中解除や満了時の退去でテナントと貸主がもめることが多いのです。民法上では回復義務がありますが、契約締結時に借用開始時点での原状の明細を写真やデータで明確にし、しっかりとした取り決めをして契約を取り交わすことが重要となります。
物流施設のマスターリースを行う場合では、テナントの賃料収入が安定的に確保できることを見極めないといけません。入居するテナント企業の経営内容を把握するだけでなく、そのテナントの業界全体のことも確認し、将来性をシビアに判断します。テナントが倒産し、賃料が払えないということになれば、大赤字になってしまいます。
物件の利用時には破損や事故も予想されますので、発生時の連絡ルートの確立が鍵となります。直ちに報告が来て現場に駆けつける体制を作ることが重要となります。そして、原因究明と事後の対策を所有者に報告書等の書面で報告します。
造作工事や設備を追加する場合は、工事を行う前に工事内容を把握し、所有者から承諾をいただかなくてはなりません。いずれにしても書面や画像で記録とデータを残すことでリスクを回避できます。
リスク回避のポイントは、物流不動産は他人の資産を仲介し、賃貸借するビジネスです。書面で残すことが最も確実な方法となります。権利関係の明確化ということでは、謄本や合意書面で客観的事実をおさえます。
最後に退去時のトラブル回避ということで、もめない為にも契約時や破損、工事時に書面やデータできちんと記録を保存しておくことが重要となります。そうやってできた契約書ですが、念には念を入れて最終確認を行うことにしています。当事者以外の人に確認してもらうことで、抜け落ちていた部分をチェックできることがあります。
借り主・貸し主の関係が良好にいくのも、悪化するのも、契約のやり方次第です。もう決まったも同然と考えていると、大変なことになります。最後まで、油断は禁物です。
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登坂 雅樹(とさか・まさき)
大学を卒業後、倉庫・配送センター等事業用不動産専門の会社に営業として就職。約5年間の物流不動産の経験を経て、イーソーコ株式会社に転職。トータル約9年の物流不動産暦における仲介実績延べ約7万坪・売上実績約3億円・携わった契約件数は、約300件に上る。入社5年目の現在は、物流不動産部の課長として活躍している。


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