今まで、物流不動産とテナントを結び付けるビジネスについて説明してきました。今回は、応用編となります。
物流不動産とテナントの要望がうまく合致すれば、問題はありません。しかし、そういったケースは珍しいです。コンサルを行いながら、テナントの要望と、手持ちの物件とを合致させることを、今まで説明してきました。今回説明する「RE・倉庫」は、倉庫に大きく手を加えて、倉庫のポテンシャルを最大限に引き出し、テナントをつける方法です。倉庫の集約などで、小型のビンテージ倉庫に空きが出てきています。使い勝手が最新施設より悪いため、単純にテナントを見つけることが難しいのですが「RE・倉庫」なら対応できます。
小型のビンテージ倉庫に空きが出てきているのは、“玉突き現象”と呼ばれるものです。物流不動産ファンドを中心に1万坪を超えるメガセンターの建設が続いています。利用のしやすさや、実効床面積(動線などを除いた実際に保管に利用できるスペース)などからニーズは高まり、メガセンターへの集約が進んでいます。さらに、集約で空いた大型物流拠点には、中型拠点が集約。さらに小型拠点の集約という様に、玉突きのように集約が進んでいっています。小型のビンテージ倉庫は、倉庫としてのニーズが低くなってきています。
そこで、自社倉庫のポテンシャルを最大限に引き上げる「RE・倉庫」が注目されています。倉庫の能力を引き上げる提案をしながら、新たなテナントを結び付けていきます。能力を引き上げたことで、賃料を今までより高く設定することも可能になります。
RE・倉庫の実績では、倉庫をオフィスやダンススタジオ、撮影スタジオにしてきました。倉庫のオーナーにとっては、荷物を保管するより賃料を高く設定できるメリットがあります。また、テナント側では、普通にオフィスを借りるより安い家賃となっています。そのため、両者にWIN-WINの関係ができあがります。
倉庫には、“十分な床荷重”“5メートル以上の天井高”“柱梁構造で窓開け可能”“設備対応が容易”といった構造上のメリットがあります。これをうまく使うことで、物を保管する場所から人が利用する施設へと変身させることができます。一方で、人が使うからこそ必要な設備を設置しなければならなくなります。女性用トイレなどはその最たるものです。
RE・倉庫は、倉庫の空間を劇的に変えるものです。そのため、課題が多いのも確かです。図面の有無や、既存不適格物件といった建築的な問題もあります。アスベストや土壌といった環境への対応もあります。そういった問題を解決しながら、テナントのある程度の目星をつけて、工事を進めないといけません。さらに改修工事の費用といった金銭的問題。倉庫・運輸・不動産・建築・金融といった文化の違いによる行き違いも解消していく必要があります。それを同時並行で解決していきます。退去のときの原状回復といった問題もあります。そういった多くの課題をひとつずつ解決して初めて、RE・倉庫がビジネスとして成り立たせることができます。
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河田 洋平(かわだ・ようへい)。
イーソーコ経営企画室室長兼イーソーコ総合研究所経営企画室室長。幼少を欧州で過ごし、グローバル感覚を磨く。東京理科大学卒業後、大手ゼネコン・不動産会社に就職。その後、イーソーコ入社。入社3年目。欧州では、古い建物を修繕しながら使い続ける習慣があり、それを日本の倉庫分野に応用しようと力を入れている。


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