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モスフードサービス▼食材からのトレーサビリティの取り組み 

2008年03月02日

 「人の口に入る食品を取り扱う企業が、食の安心・安全を守るのは当り前のこと」(モスフードサービス・取締役常務執行役員・堀田富雄・マーケティング本部長)
 食品偽装をはじめ、目を覆いたくなるような事件が連日、報道される中、モスフードサービスは自社のトレーサビリティの取り組みは、食品業界として当り前のことを行うためにやったこと、と語る。
 国内における食料品の原産地表示は、主要食材だけでいいことになっているが、同社はハンバーガーに使われる牛肉・生鮮野菜の主要食材に限らず、コーン、ニンジン、ごぼうといった加工食材まで管理している。
 主要食材の牛肉(オーストラリア・ニュージーランド産を使用)などでは、RFIDの実験を進めており、同じくモスバーガーチェーンで使われる量の多いトマト、レタス、オニオン、キャベツ、ピーマン、サニーレタスなど主要野菜については、国内野菜農家(2500戸)と契約し、与えた農薬・肥料量までの詳細情報を管理(当初は台帳管理。現在はデータベース化された状態となっている)。同社のガイドラインより上回った散布状況があれば、指導・取引休止を含めた形で対応していく。海外産地のものもきちんと表示、管理している。
「中国産餃子の事件が起こり、中国食品の信頼が大きく揺らいでいるが、本質的には管理が行き届いているか、どうかの問題であって、どこの産地というのは問題ではない。主要食材だけ国産で賄っているにも関らず、すべて国産で賄っているかのような誤解を与える表記、が正しいとはまったく思わないし、逆にさまざまな問題を発生させている」(同・堀田富雄本部長)
 食材にとどまらず、メーカーに対しては、コショウなどの香辛料・調味料・添加物についても、成分表示(パーセント)を細かく把握。どこの商社から購入したか、さらにその商社が、どこの国から購入したかまでわかる状況となっている。
 当然のことながら、当初はメーカー側からの情報提供は、困難を極めたが、「きちんとした管理のできないところ、情報提供のできないグレー企業とは付き合わない」姿勢をみせ、詳細情報の開示を求め実行した。
<ナイル、マリアナ、バイカルの3システムで、産地から店舗までの、賞味期限・原産地情報の共有化が図られている>
 こうした食材情報は生産管理システム「ナイル」と呼ばれる仕組みによって管理。物流部分はシーネットのHimalayasをカスタマイズした「マリアナ」(現在はASPとして、全国13拠点を一元管理している)によって管理。これらの仕組みが連動することによって、産地から店舗までの、賞味期限・原産地情報の共有化が図られている。
 食材に何らかの問題が発生すれば、ピンポイントで、現在、どこにその食材を使った該当商品があるのかが、わかるようになっており、リスクを回避するとともに、物流の効率化が図られた状態となっている。
 物流の効率化については、センター間で起こる横持ち移動をできるだけ抑え、最適化する「バイカル」を昨年導入。「ナイル」との相乗効果で、効果を上げてきている。
<2007年にエコリーフを取得。生鮮野菜であるトマト、レタス、タマネギの物流におけるエネルギー量、温暖化負荷量、酸性化負荷量を全店舗分算出>
 モスフードサービスの徹底追求は食材にとどまらない。環境貢献にも積極的な展開を図り、生鮮野菜の食材配送システムに関し、経済産業省所管の産業環境管理協会が推進する「エコリーフ環境ラベル」を2007年に取得した。
 ちなみにこの「エコリーフ環境ラベル」はISO14040シリーズに準拠したライフサイクルアセスメント手法により算出した製品の定量的な環境負荷データを開示した認証ラベル。カメラ、プリンター製品では取得例はあるが食品業界において類をみない、取り組み。
 開示する情報は、生鮮野菜であるトマト、レタス、タマネギの物流におけるエネルギー量、温暖化負荷量、酸性化負荷量で、配送量1トンあたりの数値を算出。
 この数値は2年間を費やし、全店舗分を集計。使われるダンボール、車両、冷蔵庫の製造ででるCO2量まで算出している。
 「ダンボール、車両、冷蔵庫の製造ででるCO2量の算出まですることは、当初は無理といわれたが、環境に寄与していくためには、実態を把握しなければならない。配送については、物流管理データから得られる出荷情報、配送情報をもとに算出を図っていった」(同・堀田富雄本部長)
 「食品業界に携わる企業として、食の安心・安全を約束しないといけない。そのためにコストをかけなければならない」との発想から、これまで取組んできたモスフードサービス。今後も、絶対的な食の安心・安全を確保するため、さまざまな取り組みを行っていく意向だ。
▼モスフードサービスの先進的事例紹介が
3月18日開催の「物流改善セミナー」でされます。
http://file.e-sohko.com/eigyo/e-sohko/butsuryu-fudosan/seminar/seminar_080318.pdf
※記事提供「月刊ロジスティクスIT」
http://www.logi-it.jp//map.html