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手待ちなぜ減らない?▼センター運営会社 「ある程度は仕方ない」 

2014年08月19日

輸送経済新聞社
 特積み事業者を対象に行われた日本路線トラック連盟(北野耕司会長)のアンケートで、手待ち時間の多くが着荷主の庭先で起こっているとの結果が出た。指 定時間通りに配達先に行っても受け付けるだけで、実際に荷降ろしをするのはしばらく先。その後の配達に影響が出るケースも少なくない。手待ち時間はなぜ発 生するのか、解消するにはどうすれば良いのか。センターを運営する事業者に聞いた。
     
 若いトラックドライバーが集まらない理由の1つに長い労働時間がある。特積み事業者を対象に行われた路線連盟のアンケートでは、着荷主の庭先での手待ち 時間を指摘する回答が多く寄せられた。物流センターへ納品に行くと、受け付けで数時間先の納品時間を指定され、それまで待機するよう指示されることもあ る。
 「時間指定があるにもかかわらず、荷降ろし先の都合で納品時間を決められてしまう」(大手小売店の配送センターへの納品をしているドライバー)。実際、このドライバーはセンターの都合次第で終業時間が大幅に左右されている。

自社車両優先傭車は後回し

 多くの物流センター運営を手掛ける関東の中堅事業者は「センター内で作業員を遊ばせないためには数台はトラックが待っていた方が効率が良い」とし、ある程度の手待ちはやむを得ないとの見方を示した。
 西日本の大手3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者も「手待ちは仕方ない」とする。「多数のトラックがセンターに納品に来る。日にち、季節、 時間帯で集中する場合は手待ちが起こり得る」(この事業者)。 また同社によれば、「品目ごとに受け入れ時間を決め、トラックが指定時間に来ない時は翌日 まで荷受けしない事業者もあると聞く」(同)。
 首都圏の大手コンビニチェーン物流センターで働く作業員は「センター運営会社(首都圏の大手3PL事業者)の車両から優先して積み降ろしをする。傭(よう)車は後回しになる」と話す。

「絶対待たせない」 一部で改善の動き

 一方で、「トラックは絶対に待たせない」と積極的に手待ち解消に取り組む例も。
 ブリヂストン物流は平成14年ごろから手待ち削減に取り組んでいる。以前は朝、センターに来て夕方積み込むような長時間の手待ちがあった。それを知った 経営陣が「ビジネスパートナーとして、改善しなければいけないと思った」のがきっかけ。いつ、何が納品されるか分かっているため「あらかじめ倉庫内の受け 入れ態勢をつくっておく」(同社)。また毎月データを作成し結果を把握しているのも特徴。
 手待ち削減に対しセンターを運営する側が積極的な意識を持つことで大幅な改善に成功した。「最初は抵抗もあったが全社を挙げて取り組んだことが結果につながった」(同社)。

荷主と交渉し改善する例も

 物流事業者の側からも改善の動きが出ている。ある特積み事業者は、荷主と話し合い付帯作業の削減に努めた。センター出荷の時に荷札や送り状を荷主 側があらかじめ荷物に張ることで、作業の効率化にもつながりドライバーの負担軽減になった。「荷物と荷札を合わせることで、間違いも減る。ドライバーの労 働時間を短くした上で収入が変わらないのが理想。人の定着にもつながる」(この特積み事業者)。
 センターでの長時間の手待ちや無料で行われる付帯作業の削減には、荷主の協力が不可欠。しかし肝心の荷主企業やその物流担当者の法令などに対する理解は まだ低い。今後ますます拡大するとみられるドライバー不足には、あらゆる角度から対策が必要。手待ち時間の削減など、労働時間の短縮も1つの課題になって くるのは間違いない。(佐藤 周)