物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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スーパー → 取り壊し → 倉庫! 

野村不動産ホールディングスが、2月26日に閉店する「イトーヨーカドー東習志野店」を物流施設に建て替えると発表した。

同店舗はもともとトップリート投資法人(TOP)が保有していた物件で、野村不動産ホールディングス系の野村不動産マスターファンド(NMF)とTOPが合併したことでNMFの所有になった。NMFは建て替えを前提に野村不動産に譲渡し、野村不動産は跡地に、約7万3256㎡の延床面積をもつ物流施設「Landport東習志野」を建設する予定。建て替え後の物件優先取得権はNMFが持っており、「Landport東習志野」は完成後にNMFのポートフォリオに入るとみられる。

野村不動産ホールディングスでは建て替えの目的を、「資産の入替による賃貸バリューチェーン」の一環としている。保有する不動産に付加価値をつけてグループ会社同士で売買し、個々に売り上げを計上して全体の利益を上げようという考えだ。だが単なるグループ内取引ではなく、例えば今回のように建て替えによって賃料収入が上がれば実質的な資産も増える。さらにリートが運用することで資金調達もしやすくなる。運営する側にとって、ひじょうにメリットの多い仕組みだ。

しかし特筆されるべきなのは、今回の事例が不動産における“商業施設から物流施設への転換”というひとつのエポックである点だ。今回の建て替えは、実店舗からeコマースへというモノの流れの変化を端的に示すサンプルであり、ショッピングモールより倉庫のほうが儲かるという判断が働いた最初期の事例のひとつになるのではないだろうか。閉店するのが店舗のリストラをすすめるヨーカドーだから、よけいに象徴的なできごとのように感じてしまうのかもしれないが。

だが近隣の不動産ニーズが変化しているのかというと、実はそうでもないようだ。「イトーヨーカドー東習志野店」から西へ500mほどの場所にはカー用品店「ジェームス」などを核とする「東習志野ショッピングモール」が立地し、さらに行くと「ロイヤルホームセンター東習志野」、その北側には「マックスバリュ」を核とする「イオンタウン東習志野」がある。エリア内は他にも家電量販店やスーパーが多く、大型店舗の立地としては決して悪い場所ではない。また詳細は不明だが、大和ハウスも近隣で商業施設の建設をはじめているという。なにより習志野市は人口増加を続ける数少ない自治体のひとつでもある。

一方物流施設はといえば、昨年4月、前述の「ロイヤルホームセンター」の北側に「プロロジスパーク習志野5」が竣工している。eコマースにおける速達性を確保するためには都市部への物流施設設置がカギとされている。一方で、人口の都市部集中も加速度的にすすんでいる。土地の使われ方は経済を見る格好の指標だが、東習志野の現状はそのよき教材になりそうだ。

 

(久保純一)2017.01.20