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カルチャー産業と物流 − 第5回 新経済成長戦略と物流不動産

 菅総理は参議院選挙で消費税話題によってどぶ板に落ちてしまった。選挙は個人相手の人気投票なのに、景気論議や社会の戦略を語る以前に個人の癪(しゃく)に障った(さわった)のは選挙参謀の落ち度である。

 言ってはならない真実こそ、人を怒らせるものはない。人は感情で動き、頭の判断ではなく心で意思決定しているからだ。「なんとなく好き、嫌い」がどれほど経済を動かしているか、女子が購買決定権を握っている背景には心理学がある。

 理詰めで政治や経済を語り、それが成功するなら学者が経営者になればよいし、教師が政治家になればよい。そうはならない現実をもっと知るべきだろう。

 人口が減り年寄りの経費が嵩む時代に、どうやって旧来型の家や鉄、自動車の業界が成長できるのか。無理に決まっている。食べない、遊ばない、世界 第2位の個人消費が国を支えてきたが、これからは控えめ消費に変わって行くときに、企業相手の法人減税と個人相手の消費税を持ち出しても景気浮揚には効果 はない。

 買わないのに消費税を上げても足りないし、5兆円しか税を納めていない法人に減税しても税収は増えない。投資や雇用、新規事業は借入金で済ますからもともと税控除のためにある。

 よって新産業は旧来の重厚長大でもなく、軽薄短小業界でもない。旧産業が復活するかも知れないと思うなら、購入者の意思決定=女子が心変わりするときである。

 感情にアピールする手法は安さ、高機能さ、便利さ、だけではない。

 銀座の高級ブランドショップは退店しても名古屋は残す。婦女子の意地が店を支え、嫁入り前の一気購買が想像を超えているとしか思えない。

 新経済成長に上げられている感情産業はある意味では大正解だ。既存産業にも応用が利く、何より購買決定者=女子への秋波を意識したものづくり、ソフト作りに大きな影響を及ぼすに違いない。

 家は住むものではなく、人生のある時期を過ごすものだし、車は移動手段ではなく見せて話題を生み出すマシン、鉄は見えない機能を誇るものではなく、暑さ寒さや軽さをネーミングで競うもの。

 そんな風に産業のマーケティング手法が変わることがチャンスになる。

 読者諸氏は知らないだろうが欧米アジアの若者が日本に来る目的は、アニメとファッション、音楽と芸能人であり、旧所名跡、富士山広島京都は二の次なのである。だからといって土産屋や秋葉原が賑わうだけと考えるなら商機を失う。

 少子化の果てに教育産業や書籍が不調と信じるなら、アジアの富裕化層の子弟宿舎私立学校の発想は出てこない。識字率100%、計算力未だに高いわが国の教育プログラムを外国へ輸出できているのは公文だけではもったいない。

 ガラパゴス化を自嘲するなら開き直り、世界で展開すれば良い物を、卑下するばかりのマスコミは罪深い。

 携帯技術はゲーム機に応用し、腕時計の席巻はスイス工芸品に負けている。功罪半ばの経営戦略はまだ余地があるのだ。

 カルチャー、感情産業に物流は存在するか?見えないと思えばないし、探して創り出せば無尽蔵に広がる。何よりこれからの5本柱に据える決議が行われているのだ。上り龍についてゆかずに、世間を恨むには早すぎる。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)