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消費税と消費行動 − 第6回 経済政策用語解説

日本は消費税を導入してしまったので、税ですから、いつかは上昇しなくてはならない宿命を背負ってしまいました。長く続いた不景気は、GNPという日本の経済指標で測れば、1997年の507兆円をピークに10~13%も下がっています。というのは、460兆円が今の実測値です。

不景気なので税収が足りず、国家の維持すら不安定になっているので、赤字国債が増え続け、累積900兆円まで届きました。景気を良くするために再び政権交代が起こり、心理的な安心感から株高、円安、景気回復の助走が始まっているようです。景気は気分と言いますが、日本では一番重要なのが「気分」であることの検証が必要ですね。

家計消費が7割を占めていて、貿易収支では5%にも足りません。(輸出で10%輸入で12%が近傍でしたからね)それは、日本が世界最大の消費国家であり、アメリカに次ぐ規模であることが大事だからです。韓国は貿易が6割を占めていて、貿易がどれほど大事なのか、為替や金利に敏感なこと日本とは大違いです。貿易依存度という指標で見ると、日本なんて言うのは先進国ではない。昔から内需中心の流通通商国家であるのです。

ですから景気回復には、消費を増やすような政策が重要ですが、消費税を初めて導入したタイミングが悪かった。昭和の終わり、平成の直前でバブル崩壊後の不景気突入時期でしたから、法人減税、所得減税の差し違いで実施したのでした。租税負担が法人税減税分と相殺されたのが実態です。つまり、税収不足を肩代わりしたのが導入の契機だったのです。

その後、1997年のGNPピーク時期に5%に上乗せしても、景気気分は高揚していたので反発もなくあっさり導入。しかも、世界に比べればまだ安いなどという評論家も確かにいましたが、世界は日本のような間接税は少なく、直接税としての消費税が昔からありました。

お買い物気分を削げば景気は悪くなり、GNPは増えません。消費大国日本の宿命ですけど、政策は明らかに逆行しています。所得が上がらず、消費税が上がれば、お買い物はできなくなるのは当然ですから、景気と消費税が逆相関なのは知らない人がいないはず。

駆け込み需要という手が景気浮揚に使われた時期もありましたが、正攻法ではない。
法人減税で貿易依存度を上げたい、という確固たる意思も戦略もないままに、法人税と消費税をトレードしたらどんな結果になるか、わからないまま政策を続けることの陳腐さには、皆で呆れるだけですね。
税収不足というより、歳費削減を先行させない理由、景気回復に消費促進より、公共投資を機動的に実行するという意図と効果の不信感。国民こぞって議論したり、新聞社説できちんとトレースる記者がいないのはなぜか、そろそろ大本営スタイルと決別する時期になっているようです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)