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卸売業の進化軌跡 − 第7回 大きく変わる業種・産業界

 全ての産業が売上拡大を目指して苦労しているように、規模の拡大は全ての問題点を解決する特効薬でした。しかし、売掛金の急膨張が信用不安となっ たり、競争相手との事業統合が当然のように起きると、売上の拡大策はまるで薄氷を踏むリスクにもなってきました。確実な代金の回収、正確な利益予測と実績 の確保、競合との棲み分けやシェア争い、長期に渡る安定的な取引の継続性、これらは売上拡大策よりも重要なことであることに、改めて焦点が当たってきてい ます。
 特に利益率の経営であるとか、財務を筋肉質へというキャッシュ・フロー重視の営業政策は、豊富な品揃えや常に投入される新商品ではない、深く浸透する営業戦略でなければならなくなりました。
 大量豊富な在庫を元手にした巨大物流サービスから、多頻度少量でのクイックサービスへの転換です。更には、顧客情報と出荷情報をクロスさせた小売業が得 意とする、交差主義比率(粗利と数量による、利益最大化公式)での販売がどれほど進んできるかの個別分析が必要になってきています。

 これらをして、卸売業の進化といえるでしょう。巨大物流施設や物流情報システム、そして販売管理システムとの連携によるCRM(顧客管理分析)というように、物流とITがその進化を支えてきています。

 もし、特売キャンペーンというような瞬発力が得意とか、豊富な品揃えで一枚、一個からでの物流サービスを標ぼうするなら、それはもう時代に逆行していると言わざるを得ません。

 卸売業と物流は一体であり、これからは物流情報をもとにした、キャッシュにつながる商談を打ち続ける必要があります。
 特に小売業界では、SPA(製造直販チェーン店舗)の高い利益率が話題になりますが、チェーン展開という規模の経済性だけでなく、在庫管理の緻密さによ る欠品防止と売れ残りによる値下げ販売の抑制という、物流在庫〜店舗店頭陳列在庫での在庫管理の巧みさに依ることが大きいと言われています。
 常に顧客の店頭情報を把握し、小売店舗にとっての適切な購買・仕入れ代行が実現できるためのIT環境が整ってきています。ITを駆使した情報分析に卸売業の活路が期待されているのです。
 中小小売の単独店舗での販売支援とチェーン展開する小売店舗の支援では、全く方策が異なります。
 大手メーカーの販売支援とユニークな商品発掘の商品開発も、視点や行動が異なります。メーカー、小売の顧客それぞれの視点で、「販売の科学(仕入れの技術)」が卸売業の存在価値を示す分野なのです。
 メーカーは生産を外地に求めています、小売はバーチャルネット販売との併合を狙っています。卸売業の持つ複眼視点がどうすれば活かせるか、商材や業界によって多くの可能性が秘められていると言えないでしょうか。
 そして、在庫管理技術を活用して、作り過ぎない、仕入れ過ぎない、売り切る政策をメーカー、小売に対して常にアドバイスできる立場と考えると、卸売業のビジネスフィールドほど広く、深いものは他にないのです。
 小売業の悩み、製造業の悩みについては、次回から扱います。そこには、販売代行の余地が十分にあるし、自らだけでは成し得ない大きな壁の存在が気にかかります。