物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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メーカー - 第1回 物流不動産&EC物流の解決力

急成長するネット通販などのECビジネスは物流施設の有望な顧客層になりつつある。彼らの実力と課題解決力の源泉を探る。そもそも彼らはどこから来て、どこへ向かうのか。観察を深めるほど、ECベンチャーだけが急成長しているわけではないことに気づく。つまり、ECは手段であり、ECと物流が新たに物流不動産というアセットを活用することで、今までの産業構造を変えていることが見えてきた。彼らはかつてのメーカーであり、今の小売業であり、これからのサービス業、将来の商店街であり街を作り変えようとしているのだ。そして、日本が抱える大問題を解決し始めているのだ。驚きを持って観察を続けてゆこう。

製造業は素材と機械に制約があるもので、メーカーにも素材業界の区別が多様化している。化学、鉄、紙、食材毎に同じメーカーとは言えないほどの違いがあるものだ。

21世紀に入り、ECとITがこの制約を開放してきた。機械は電子制御という標準化と精度を保証するものになり、設計図は手書きからCADに変わり、こちらも言語の壁を越えて世界標準が進んできている。

糸を使うアパレルメーカーは、ニットマシンによって世界中で同一製品を製造する事が可能となり、高速生産という意味でファストファッションが業態を生み出している。

原材料という原子アトムは電子情報のビットと連携して、メーカーが変わった。

モノは物流で世界をめぐり、地球の裏側でコピー商品が流通している。

工場という巨大な不動産がメーカーの特徴でもあったが、今やEMSなどの製造委託ビジネスが増えた事で、工場なきメーカーは珍しくない。

同時にたった一人の技術者がメーカーとなりえる事も証明されて、メーカーの定義そのものが多様化している時代なのだ。

メーカーを宣言する人と物流が組めば、一人で世界を相手にビジネスが可能となっている。必ずしも大資本を前提の工場不動産がなくても互角に戦えるマーケットが生まれていると言えるのだ。

方やクラウドファンディングという予約金受け取りの仕組みを使い、スマートウォッチデザインで一瞬にして10億円を集めたPEBBLE社はたった3人で世界の話題を一手に集めた。

アップルウォッチの3年前から、マーケットを作り出していた。

 

あなたが できるものは何か、ではなく、あなたがやりたい事は何かね?

と自問する事で全てが始まるのは、ECと物流の組み合わせなのだ。メーカーは素材と機械という制約を越えて、全世界に工場を持ち、全世界でその存在をアピールできる時代を迎えているのである。

(イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵)