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リーマンショックとは何か − 第4回 政治と物流不動産『政権交代で何が変わるか』

 誰もが枕詞のように使う金融危機は防ぎようのない事件だったのだろうか。

 被害者は世界に広がっているようだが、原因は一部の行き過ぎた金融活動とは言えないバクチだった訳で、人災なら再発防止ができるはずだからもう復活を始めたアジア、EUがある。日本はどうした?

 リーマンショック=金融業界事件だとすると、不良債権で苦戦した金融機関や法律の追い剥ぎのように跳びかかったノンバンク、サラ金なのか。

 日本銀行は我が国の中央銀行で最高峰に位置する銀行だが、一般株式会社であって政府は55%しか所有していない。JASDAQで証券売買が行われ ており、株主様のために活動を行う。資産は毎月発表され、金地金4000億、貨幣の発行高80兆、国債71兆を保有する。金融危機の場合には資産保全の活 動を最優先事項となるから、本来なら株式債券を放棄して値上がり期待の金地金へのシフトが図られる。が、この動きはなかった。

 中央銀行が防御に向かってはいないのに、民間銀行は貸しはがしを徹底した。そのあげくの資金繰り絶望事件が多発しているのだ。

 金融事件はまだ隠されている。アメリカ大使館は自国の貸借対照表を公開しており、アメリカ国債の販売先をリスト化している。我が国は第1のお得意 先でリーマン事件の直後に620億ドルを保有する。昨年だけでは買い増しを続けており、今や730億ドル。つまり、1ドル100円なら62兆円から73兆 円までだ。しかし、こんなことが許されるだろうか。

 リーマンショックはアメリカの事件なので、一気にドル安円高が進行した。仮にこの間までの相場1ドル120円で米国債を購入していて、更に買い増 しを続けた結果、現在は1ドル90円。全く馬鹿な動きである。円高で買い増せば為替損が生じるのは目に見えている。その額は20兆円を超える。

 金融危機による景気急落、税収不足だ、政権政策も危ういとマスコミに報道させながら、その実為替損で20兆円。失業者全員を雇用しても350万人に時給1000円なら7兆円で済む計算だ。

 米国債を買っているのは誰か、どんな判断で買い増ししたのか。為替をどのように読んだのか。円高の影響はトヨタやデジタル家電以上に国家問題なのにそのことを報道もしないし、国民への説明もない。日銀も中央最上位金融機関なのに発表すらしない。

 リーマン事件はオバマ大統領がお詫び訪問を行って当然のことではあるが、我が国の金融機関の挙動にも不自然さがありすぎる。

 税収が足りないと言う裏で買い増し為替損を招いている現実。お上と政治の事を知らなすぎた国民の不幸がここにある。マスコミも同罪だが、署名記事の文化のない通信社ではしかたがないか。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)