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フィンテックとロジスティクス technology(第6回) 物流マネー70兆円のゆくえ

現代の話題と脅威は安閑としてきた産業界にとって最悪の時代と言える。隆盛と牽引を続けてきた自動車産業が電気業界と競争を始め、鉄鋼は新素材に追われつつあり、金融機関はもはや信用あっても頼れる母体とは言えない状況にある。

我が国の総資産は不動産2300兆円、現金預金3900兆円、国家予算が毎年100兆円であっても、その金は金融機関を頼りとせずに流動を続けている。

銀行だけに許されてきた金融行為はすでに証券会社や保険会社に解放され、私たちの生活資金はデジタルマネーとクレジットカード決済によって、銀行の存在すら意識しなくなってしまった。

スマホ一台で買い物、決済、融通や送金、仮払いや予約、請求と清算が可能になっているのだ。銀行機能がスマホに組み込まれたと言っても良いだろう。

この便利さは企業経営にも同じ利便性をもたらしており、今や経理部や財務部の本当の仕事は見えなくなってきている。

「まだ請求書が届くので、内容をチェックしてから、銀行を通じて送金している」という実態は間も無く過去の遺物か歴史教科書のトピックになるだろう。

なぜ請求書が必要なのか、どうしてないよう点検をするのか、なぜ銀行を通じて清算するのか。

発明や工夫の余地はないのか。すでに発明は現実となり、今までの手間暇はすでになくなりつつあるのだ。

ビジネスはサプライチェーンと呼ばなくても、企業間と消費者との接続が行われている。売るなら人や企業がいて、買い手もいる。取引は瞬間で行われており、後処理に回していた請求清算業務はその理由が見当たらない。

考えてみればコンピュータやシステムがなくて、手作業や紙台帳に頼らなければならなかった名残が掛売り、掛け買い、あと清算、あと請求と呼ばれるものだった。

商売は江戸時代に遡れば、大福帳によって大晦日に清算が行われていた。

今や大福帳そのものが情報システムの内部に記録され、瞬間に同時処理が可能であり、代金や請求清算もリアルタイムで実行することが可能だ。

製品のサプライチェーンが接続され、原材料資材から完成品消費者までがロジスティクスで接続されている現代、代金の清算は売れた瞬間に同時に行うことが可能だ。消費者の代金がリアルタイムで小売、流通、製造、原材料、輸出入先に接続することができる時代なのだ。

そこには、売れたものしか意味がなく、売れ残りや過剰在庫、生産見込みには経済的な意味が全く存在しない。リスクは保険でカバーすることで、余剰な商品在庫はゼロになる。

金融技術、フィンテックの将来は無在庫、流通ロスの解消というロジスティクスの問題解決まで繋がってくるのだ。

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>