物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
最新ニュース・情報を発信しています。

  • メール会員情報変更
  • メールマガジンバックナンバー
  • ニュースメール配信登録

ゲイソー・ロジスティクス 古川浩延社長 − キーマンに聞く 第16回 

 広島市に本拠を置き、地場に根付いた物流業を展開する「芸備倉庫グループ」の中にあって、3PL事業を推進するのが「ゲイソー・ロジスティクス」(本 社=広島県東広島市)だ。ネットワークを通じた取引業の基盤強化を図るため、3年前より「中国イーソーコ.com」の運営をスタートし、今回、サイトを刷 新、機能の大幅強化を図る。ネットワークを通じた協業会社とのシナジー効果と、情報を活用した攻めの営業展開により、不況下で勝ち抜けられる強い企業体質 を構築中だ。同社の物流戦略について、古川浩延社長にお話を伺った。

furukawa

<写真・古川浩延社長>

 ―芸備倉庫グループの中で、ゲイソー・ロジスティクスの位置づけは。

 古川 芸備倉庫は大正14年に創業。創業当初は鉄道駅近くに拠点を置き、米、タバコといった政府主管貨物を取り扱っていた。その後、戦争による原爆投下で所有する倉庫がすべて壊滅、そこから再興を果たしてきた。

 政府主管貨物で培ってきたノウハウをもとに、食品・アルコール・飲料などの定温機能を備えた品質管理に定評がある事業を展開。

 輸送手段も鉄道からトラックへと移り、求められる倉庫機能も保管型から流通型へと変遷していく中で、倉庫にとどまらず車両も必要とみて、芸備倉庫 の輸送子会社として1971年にゲイソー・ロジスティクスの前身となる「ゲイソー運輸」が産声をあげた。グループ全体で保管から輸送までを一貫して行える 体制を構築した。

 当初は飲料会社の事業をメインに、芸備倉庫グループの運送部門に特化した役割を果たしていたが、その役割は時代の変遷とともに変わることとなる。

 芸備倉庫が保有する倉庫は広島市の駅近く。マンション開発が進み、周辺環境が変化するとともに、保管型から流通型へと求められるニーズが変わって いく中で、民家が密集する地域に立地する多層階建ての倉庫では、大量輸送、夜間荷役、車両の大型化といった流通型に対応するには不都合が生じてきたから だ。

 物流効率化法が制定され、施設の集約化が注目されはじめた2005年12月に、ファンドを利用した流動化スキームの下、流通型に対応した新拠点を 東広島市(荷捌きスペース含め延べ床面積約2,900坪)に新設。それと平行する形で、グループ内の組織改変を断行し、芸備倉庫は広島市内の拠点機能を活 かしたトランクルーム、機密文書、保管型に特化した事業を、新本社の元宇品を拠点に展開するとともに、ゲイソー運輸はゲイソー・ロジスティクスへと社名を 変更し、新拠点を活用した倉庫・輸送一体型の3PL会社へと生まれ変わった。

 現在、ITを駆使しながら、企業のSCM全般を支える企業として業務を遂行しているところだ。

 ―「中国イーソーコ.com」運営に携わった経緯は。

 古川 ネットワークを拡げるべく、「倉庫業青年経営者協議会」(倉青協)の活動に参加しており、それが縁でイーソーコに出会ったのが大きな理由だ。

 地方の一事業者が単独で短期間に全国展開することは不可能。3PL業を進める上においては、ネットワークを通じた取引業の基盤強化、情報交換の環 境整備を図らなければならない。「イーソーコ.com」はこれを進める最適ツールとみて、ちょうど中国地方のASP先に、との声もかかったので名乗りをあ げた。

 ―今回、サイトを刷新する。その狙いは。

 古川 倉庫業は、もともと顧客は待っていれば向こうから集まってくる「待ちの経営」で事業が賄えたところがあった。

 私自身も3代目として家業を継ぐまでは、大手総合商社に勤務していたが、倉庫業独特の風土に驚かされたところがある。

 そうした企業風土は徐々に改革していき、3PL事業の本格進出とともに、意識改革はそれなりに進んだが、物流不動産事業の活用の面ではこれまで試 行錯誤なところもあった。せっかく物件情報、荷主情報が集まってきても、協力企業に「丸投げ」でお任せしてしまうケースが多く、自社の活用においては手探 り状態だった。

 イーソーコの「イーソーコ.com」が、機能の大幅強化が図られたのに併せ、今回「中国イーソーコ.com」についても、機能刷新を図ることとな るが、営業倉庫に加えて寄託貨物倉庫情報が掲載できること、営業支援ツールのLSSなど、新サイトが持つポテンシャルはきわめて大きく、利益を生み出す有 効な営業ツールであることを再認識しているところだ。

 いずれにせよ、物流不動産ビジネス分野においては、これまでは助走期間。

 サイト運営企業として、機能強化を図るだけでなく、リニューアルに併せ、物流不動産を活用した積極的な営業を進めていく方針だ。そのための体制も築き上げているところだ。

 ―不況期のいま、物流不動産事業は打開策となり得る。

 古川  従来と違った新しい切り口で物流事業を展開できるのが、物流不動産事業の特徴。

 コストをかけて土地を買収し、自社施設を建て、そこに荷主を入れて収益をあげていくことは、特に不況期の中では難しい。収益をあげていくためには、自社施設にとどまらず、パートナーのインフラも有効に活用しながら、荷主獲得に結び付けていくほかない。

 「中国イーソーコ.com」はこれを進めるための有効なツール。

 協力企業とも従来以上に関係を強化し、互いの特徴を活かしたシナジー効果のもと、地域の発展に役立つツールだと確信している。

●HPアドレス
http://www.mars.dti.ne.jp/~spacebox/gb_kaisya_geiso.html