物流不動産ニュース

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JA-LPA事務局長 塩田研太郎氏(不動産鑑定士) − キーマンに聞く 第1回 

 「キーマンに聞く」第1回目は、日本物流不動産評価機構(JA-LPA)の事務局長・塩田研太郎氏。日通不動産の不動産鑑定士 として、全国の物流不動産を評価・鑑定しており、日本で一番多くの物流施設の鑑定実績をもつプロフェッショナルである塩田氏に、同機構の今後の活動と日本 における物流不動産の動向を中心にお話を伺いました。

―経歴についてお聞かせください。

 早稲田大学理工学部建築学科で都市環境工学を専攻。不動産の道を志し、物流業界のなかでもアセットを豊富に持っていた、日本通運本社に入社しまし た。その後、日通不動産出向中に不動産鑑定士資格を取得。日本不動産研究所出向などを経て、現在、日通不動産にて勤務しております。
 これまで、おもに全国の物流不動産開発・仲介・鑑定評価業務に携わっており、1000件を超える鑑定評価を行ってきました。

―日本物流不動産評価機構の設立経緯。

 物流不動産鑑定に長年携わり、思っていたことは、ほかのオフィスやマンションなどの鑑定と違い、客観的な施設の評価基準(不動産価値・テナント料データ)がなかったことでした。

 最近ではとくに倉庫業法が許可制から登録制へ移行するなど、各種法規制緩和によって倉庫の流動化が起こり、外資を中心とするファンド運用、証券化 など投資や融資の動きも本格化しています。5年ほど前から、倉庫の有効活用のお話を物流業界内にとどまらず、金融機関など投資・融資する側からいただく機 会が、増えたのですが、そのとき、ほかの建物と違って、誰がみても安心できる客観的なデータを明示できないことへの、もどかしさを感じていました。物流不 動産の裾野を広げ、業界を発展させていくためには、こうした状況を変えていかなければならない、と思っていたわけです。

 そうしたとき、たまたまイーソーコが運営する倉庫マッチングサイトの「e-sohko.com」を見かけ、イーソーコや日通不動産などが保有する 豊富な倉庫データと、物流不動産鑑定技術、さらに金融・建築の専門家などの技術を集積することによって、業界内に、これまでなかった倉庫データの共有化を 図れるのではないかと、思ったわけです。いまから3年ほど前にイーソーコ側に話を持ちかけ、2005年9月に、イーソーコ、日通不動産、日本政策投資銀 行、日通総研、帝国データバンクなど物流・建築・不動産・金融の専門家が集まり、第三者の中立的な立場から物流施設の評価や診断を行う組織として「日本物 流不動産評価機構」(望月光政・代表理事、略称:JA-LPA)を設立しました。 

―JA-LPAの活動内容についてお聞かせください。

 JA-LPAはLLP(有限責任事業組合)として、投資・融資先からの、物流不動産に関連する評価・診断業務(立地、土地・建物評価から耐震診 断、アスベストの有無など多岐に渡る項目から総合的に評価)といったレポート作成や、既存の物件所有者からのさまざまなコンサルティングに応えています。 物流不動産を人間に例えれば、人間ドックのみならず体力測定を行う場として、活動を進めているところです。
 
―昨年、「JA-LPA 推進協議会」を発足しましたが、この
  組織の役割について、お聞かせください。
 

 JA-LPAの設立に賛同頂いた企業や有識者からなる団体です。LLPのJA-LPAと違い、非営利団体で、広く会員を集め、会員の相互交流による勉強会や研究会によって、物流関連事業の発展と物流不動産評価体系の確立をめざしています。

―今年7月31日には「JA-LPA 推進協議会」発足一周年を
  記念したセミナーが、東京・千代田区のベルサール九段で
  開催されます。セミナー開催にあたって一言お願いいたし
  ます。

 発足してからの1年間は準備期間として、おもに組織づくりを図ってきました。今回のセミナーを契機に本格的な活動を開始。会員を広く募り、物流業界に寄与する活動を図っていきたいと考えています。
 セミナーは有識者を招き、変革する物流業界をさまざまな角度から講演するものとなっております。会員・非会員問わず、受け付けておりますので、ぜひ足をお運びいただければと思っています。

※日本物流不動産評価機構 推進協議会 主催 第一回セミナー・お申し込みは下記サイトで受付中
http://www.ja-lpa.net/shosai_index.html

―今後の展開

 「JA-LPA 推進協議会」では年内をメドに、建物・賃貸・収益性などの各分野に分けた分科会を形成し、研修・研究を推進していきたいと考えています。将来的には活動内容をレポート化し、書籍にまとめていくことを視野に入れています。

―最後に一言

 物流施設の評価・鑑定作業を推進し、賃貸データや空室率のデータが整備することによって、物流不動産の投資適格性が増すこととなります。こうしたさまざまなデータが集まることによって、物流不動産の健全化が進み、流動性が増し、ひいては物流業界の発展につながります。
 今後も地道な活動によって、物流不動産業の育成に寄与していきたいと思っています。

塩田 研太郎氏プロフィールは下記を参照
http://file.e-sohko.com/eigyo/e-sohko/it/ja-lpa/sioda-profile070714.pdf