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「TBWA\HAKUHODO」新オフィス・日経ニューオフィス賞受賞であきらかとなった倉庫リファイン事業の有用性 − キーマンに聞く 

 社団法人ニューオフィス推進協議会と日本経済新聞社が表彰する「日経ニューオフィス賞」の最高賞である「日経ニューオフィス推 進賞経済産業大臣賞」に、イーソーコ総合研究所(本社=東京都港区、遠藤文社長)が総合監修を行った、「TBWA\HAKUHODO」新オフィス(第三東 運ビル5・6F)が受賞した。

 「TBWA\HAKUHODO」新オフィスがどのようなものか。またイーソーコ総合研究所が進める倉庫リファイン事業とはどのようなものなのか、特集した。

(参照記事)
http://www.butsuryu-fudosan.com/2007/08/post_122.html

●「TBWA\HAKUHODO」
<公園みたいな演出が施されたオフィス>

 「TBWA\HAKUHODO」は博報堂と米国の広告会社TBWAの合弁会社。総勢300名近いスタッフを抱える大所帯だが、昨年、ワンフロアに オフィスの全機能を移転しようと決めていた。これだけの人数をワンフロアに集中させるだけで、物件の選択肢は限られてくるが、さらに 「TBWA\HAKUHODO」は、自社のクリエイティブらしさを出せる、これまで前例のないオフィス空間の演出にこだわった。

 広いスペースと前例のないオフィス、両方を満たす物件を探すのには当然のことながら苦慮したが、探し続けた結果、みつかったのが倉庫施設の第三東 運ビルだった。倉庫フロアの5、6階は、以前は卓球場として使用されており、300名近いスタッフを収容できる能力を持つ。オフィス空間の転身を図る必要 があるが、何より総合監修を行うイーソーコ総合研究所の「倉庫リファイン」を活用したオフィスの提案に魅力を感じていた。

 「倉庫リファイン」は老朽化した建物を全面的な建て替えによって蘇らせるのではなく、建築廃材をできるだけ最小限に抑え、コストを抑制した形でオ フィス・ビアホール・ダンスホールなど、あらゆる事業形態を想定した改修を図り、既存施設の収益性を高める手法。倉庫が持つ、①ほかの建築物に比べて強固 な躯体を持っていること、②柱スパンが大きく、天井高も高くとってあるため、自由な大空間を使える-メリットを持つ。

 「TBWA\HAKUHODO」側はワンフロア2470㎡の無柱空間をみたとき、ここなら前例のないオフィスができると確信したという。

 イーソーコ総合研究所とTBWA\HAKUHODO双方のアイディアを持ち寄り、倉庫リファインでは柱のない吹き抜けの大空間を満喫できるように、5F・6Fに張られていたメザニンの大梁を一部ぶち抜き、6メートルに近い天井高を確保した観覧用の間口を設けた。

 そうして今年初旬に出来上がったオフィスはまさに公園を思い起こさせる異空間だ。ウッドデッキ階段を伝いながら、エントランスのある6階から5階 に降りると、オフィス空間が広がるが、そこは通常のオフィスと違い、中央にはセントラルパークと呼ばれる共有空間が設置。このパークを中心にさまざまな形 状のオープンエイドなシェルター(トンネル)が設けられている。

 各シェルターは1つの部屋として捉えられており、照明も各々、変化がつけられ、さらに壁面には樹木の枝をかたどったデザインが図られている。社員 のミーティング場所はセントラルパークに限らず、階段に座って行うのも自由だし、シェルターの壁に寄りかかるのも自由。自由なスタイルで業務が行える、ま さに快適空間がここにあるといえる。

 斬新なオフィス空間が今回の受賞につながったわけだが、これだけ自由な空間を演出できたのも「倉庫リファイン」という手法があったからこそ実現できたといえよう。

TBWA\HAKUHODOのテナント写真
http://file.e-sohko.com/eigyo/e-sohko/it/k-arakawa/tbwa-hakuhodo.pdf

総合監修プロジェクトスキーム図
http://file.e-sohko.com/eigyo/e-sohko/it/i-nishio/bfn/sougoukannsyu-projectscheme.pdf

●「アーキタンツ東京湾スタジオ」
<天井高は通常スタジオの約3倍、踊りやすい空間>

 この「TBWA\HAKUHODO」の事例は、イーソーコ総合研究所が手がける倉庫リファイン事業第1弾として注目を集め、以降、同社ではさまざまな形での事業を進めることとなる。

 第二弾としては都内の旧い倉庫にトイレや窓・空調などの設備を加え、工場にリファインした。三弾目の取組みとして、東運ビル3・4階をバレエスタジオ・設計事務所に転身させている。

 三弾目のバレエスタジオ・設計事務所は、テナント企業のアーキタンツの要望に従い、転身を図ったもの。

 3階の約半分のスペースは通常の天井高で、設計事務所・ストレッチルーム・更衣室(シャワールーム)で構成されているが、残りのスペースはメザニ ンを撤去し、天井高6mのバレエスタジオ(約170㎡)を創出。天井高は通常のスタジオの約3倍にあたり、広々とした踊りやすい空間を演出した(ちなみに 4階には多様なダンスに対応したスタジオが設けられている)。

 改修工事にあたっては撤去した鉄骨を渡り廊下に使ったり、廃材をホールスタジオの内装に一部利用したりするなど、工事費を圧縮させた(このコスト 削減手法がまさに倉庫リファインの特徴の1つといえる)。ダンススタジオは、ダンスに適したダブルクッションを使った床を使用したり、昇降式の水銀灯を採 用するなど、ユーザーの快適さに心がける一方、安価な資材で、非常に凝ったおしゃれなデザインを作り上げた。
 
 ダンススタジオは5月25日のオープニングセレモニーを経て、「アーキタンツ東京湾スタジオ」として開設されているが、大空間を活かした設備で、ダンサーから好評を博している状況だ。

 イーソーコ総合研究所では現在、第四弾目の倉庫リファイン事業に着手。この四弾目事業についても、今後、詳細を当サイトで公開していく予定だ。

倉庫リファインとは
http://www.sohko-refine.com/index.php