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ティエヌティエクスプレス 平野昌治・営業統括マネージャー − キーマンに聞く 第14回 

 オランダ・アムステルダムに本社を置き、欧州最大のエクスプレス事業を展開する「TNT Express」。同社の日本法人である「ティエヌティエクスプレス株式会社」で3PL戦略を手がける営業本部メジャーアカウント営業部地域営業統括マ ネージャーの平野昌治氏に、同社の世界動向と日本戦略について、お話を伺いました。

―欧州、アジア、北米、新興国地域、各地域の事業動向について、お聞かせください。

 世界220ヵ国以上の国と地域にネットワークを有する国際総合輸送会社の「TNT Express」は、オランダ・アムステルダムに本社を置き、欧州最大のエクスプレス事業を展開。

 各国の事業状況に併せ、①欧州では、現在のトップシェアを維持する、②ナンバー1シェアを築き上げている中国・ブラジル・インドなど新興国・地域 では、現在の地位を不動のものとする、③日本・北米などの地区では総合分野ではなく、スペシャルサービスに特化した質の高い事業で、専門分野でのナンバー 1をめざす-事業施策を展開しています。

―「TNT Express」が世界市場で、これだけ磐石な体制が築けている要因はどこにあるとみていますか?

 「TNT Express」では、エアネットワークにとどまらず、ロードネットワークを構築し、空輸・陸送の双方に対応した事業展開を進めていました。

 他社に真似のできないネットワークの構築が、「TNT Express」の強みだとみています。

 本拠となる欧州では46機の自社機、及びコマーシャルフライトが、欧州に張り巡らされた200ヵ所のエアハブを飛び交います。

 欧州エアネットワークのセントラル・ハブとなるのが、98年に開業したベルギー・リエージェのTNT専用空港。ここでは最新の貨物ソーティングシ ステム、専用航空機メンテナンス格納庫など最先端の設備を有し、アジア・その他地域から運ばれて来る貨物を引き受け、ここから欧州全域に張り巡らされたエ アネットワークと、ロードネットワーク(34ヶ国、500ヶ所以上のデポ)を活用し、費用効果の高い輸送を実現しています。

 また中東では今年9月までにドバイに保税拠点を構築。

 さらにアジアにおいては、従来から構築されていたエアネットワークに続き、シンガポールからマレーシア、タイ、ベトナム、中国までを結ぶロード ネットワークを2008年初頭までに実現させています。アジア地区については、次のステップとして中国国内輸送(2007年に中国全土でサービスを展開す るHOAUを買収するとともに、新設デポの整備を進めている)と結びつけた大陸送網の展開をめざしています。

―日本市場での事業戦略について、お聞かせください。

 世界各地で構築した、エアネットワーク・ロードネットワークによる地力を背景に、日本法人である「ティエヌティエクスプレス株式会社」(本社=東 京都江東区、小平忠社長)は、羽田空港の国際化を見越し、東京都港区田町にあったオペレーションセンターを今春、江東区新木場へ移転(国際的なセキュリ ティ基準である「TAPAクラスA」の取得を予定)するなど、将来を見据えた拠点整備を図りつつ、当社にしかできないスペシャルサービスを取り揃えること で、顧客からの信頼を勝ち得るよう、尽力しています。

 サービス・レベルとロジスティクス・コストは、トレードオフの関係にあるといわれていますが、最適な物流改善を図るべく、物流業務・物流管理レベ ルを提供するだけの物流事業者の枠にとどまるのではなく、ビジネスプロセス構築、IT企画・導入支援、管理基準作成、協業・3PL事業者の選択を含めた、 いわゆるLLPソリューション事業を展開。新規ユーザー獲得のために、入庫データなどを活用した作業分析を行い、ユーザーの企業戦略を汲んだ物流改善提案 までを行う、無料の1日コンサルも実施しています。

 高品質サービスを提供するために、他社よりも高い給与体系で有能な「人財」を獲得するとともに、①グローバルに構築された物流インフラ網、②物流 インフラを支える、自社構築のWMS(Helix)・TMS(貨物追跡システム)・24時間365日対応のカスタマーサービスといったシステム整備、③専 門分野に特化したスペシャルサービスやIDE(※注)といったサービスの充実化―を実施しています。

 物流企業の多くが、熾烈なコスト競争のもと、サービス維持が困難となり、荷主からの評価を下げてしまう負のスパイラルに突入しているなかで、 TNTでは、逆に当社にしかできない高品質サービスを取り揃えることで、荷主からの評価を上げ、コスト競争に陥らない高収益構造を維持しています。

 ※注・IDE=荷降ろしと通関業務の効率化を図るため、ユーザーからの複数注文を1つの貨物に統合し、通関終了後、荷受先住所に分割して個別に配送する、TNTの配送方式。貨物追跡システムとの連携で、荷送先と荷受先両方に、配送の進捗状況を知らせることができる。

―冒頭、日本市場については、「総合分野ではなく、スペシャルサービスに特化した質の高い事業で、専門分野でのナンバー1をめざす」との回答を頂きましたが、具体的に、どのような分野でナンバー1をめざすのでしょうか。

 当社では、さまざまな事業への適用を図りバリエーションを拡げるだけでなく、コア事業に資本を集中させたビジネス展開をしています。

 当社がとくに力を注いでいるのが治験・臨床分野です。当社では、一定条件を満たした危険物配送のライセンスを保有。3PL業者との提携のもと、温 度管理を要する貨物の特別配送に対応し、治験・臨床分野では圧倒的なシェアを獲得しています。治験・臨床分野を中心とした集荷・集材、保管、輸配送という 一貫サービスは当社のコア事業の1つとなっています。

 またグローバルの物流拠点網と全国39ヵ所に(2009年末には50ヶ所に拡大予定)構築された緊急配送拠点(デポ)を活かし、サービスパーツを 保管して在庫管理し、代行して拠点管理し、荷主のオーダーに従って国内外に輸送する「サービスパーツ・ロジスティクス」というサービスも当社の強みといえ るでしょう。

 2~4時間以内に配送できる「緊急配送エリア」は郵便番号で46%をカバーしており、これは国内の都市圏についてはほぼカバーしている計算となり ます。コールセンター設計・構築・運用も担当し、営業担当者からの緊急配送にも一元的に受け付け、迅速な対応が可能となっています。

―最後に今後の抱負をお聞かせください。

 当社は今後も、他社に真似のできない専門領域を拡充した事業を展開していく予定です。質の高いサービスで顧客満足度の向上に努めていきます。皆さん、よろしくお願いいたします。

●連絡先
ティエヌティエクスプレス㈱
担当:平野昌治
masaharu.hirano@tnt.com

HPアドレス
http://www.tnt.com/express/ja_jp/site/home.html