物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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〈レポート〉日本物流研究会セミナーで50名を前に、物流不動産ビジネスの極意を発表 

日本物流研究会(新日本流通新聞社主催/NBK)の第282回特別セミナーが東京・新宿のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催されました。「広がる物流不動産ビジネス」をテーマに、イーソーコ総合研究所代表の出村亜希子が登壇、駆けつけた50名に来場者に物流不動産ビジネス事例や2組のゲストトークセッションを交え、講演しました。

イーソーコグループの建築部門「倉庫ドクター」として、イーソーコ総合研究所では建物診断、修繕・改修工事、リノベーションなどを手掛けています。その事例として、出村は自動車整備工場(富士運輸)などを紹介したほか、この6月から社内外へのグループ広報を強化した成果として、日経主催のオンラインイベント「ロジスティクス・サミット2021」に会長・大谷巌一が招かれイー・ロジット角井氏らとのパネルディスカッションに登壇したことを挙げました。


 

物流を基本とした掛け合わせのビジネス

出村は物流不動産ビジネスの極意を紹介しました。例えば、「100坪の賃貸倉庫を探してほしい」というお客様からの要望に対し、物流不動産ビジネスは「不動産案件から物流案件に変換することで」(出村)、さまざまなソリューションを創出することができます。100坪の倉庫スペースのお話が「寄託案件」のご提案など、賃貸に限定しないお客様ニーズを引き出すことで、お客様には喜ばれながら、イーソーコグループでは料金を収受することができるのです。

「100坪のご要請から、最大4000坪の倉庫のリーシングを行ったこともあります」

また、物流不動産ビジネスは「掛け合わせのビジネス」であることを出村は強調します。「物流不動産ビジネスの醍醐味は異業種企業との掛け合わせによるもので」(出村)、異業種の各社がスキルを当てはめることで提案するソリューション、案件が増大します。

「1+1=2ではなく、10にも100にも拡がる可能性を秘めています」

自動ラック倉庫のリーシング案件で苦戦した際、建屋の一部を取り壊し・建て替えることで、収益化につながった事例を紹介した後で、情報が収益につながり、再寄託で自社のビジネスに繋がリます。

ゲストトーク

(1)多摩イーソーコ社長 田澤正行氏/多摩イーソーコ 取締役 大谷真也

 

多摩イーソーコは、20年来イーソーコのパートナーとして協働してきた共進倉庫を母体に、共進倉庫・田澤正行社長が代表取締役も兼任しています。イーソーコの中堅社員3人でチームを編成、日替わりのローテーション派遣を進めています。

出村「会社設立の背景についてお聞かせください」

田澤氏「世の中に物流不動産ビジネスが認知されてくるようになり、これから業界として伸びていく確信があった」

出村「設立から1年間を経て、どのように変わりましたか」

田澤氏「これまでは私がひとりで物流不動産の営業をこなしてきたが、イーソーコの戦力で経営的に専念できるようになった」「自社倉庫の管理は独自のものだったが、今ではイーソーコさんと情報をいただき、ノウハウを共有できた。イーソーコさんは多数の実績をお持ちのため、古い倉庫の有効活用など。いろいろ参考にしていることは多い」

出村「イーソーコ社員の派遣についてどのような効果がありますか」

田澤氏「一面となるが、うちは若い社員がいないため、大変刺激になっている」

大谷「今後は、ジョブローテーションを活用してリカバリーを行い、多摩エリアの物流不動産ビジネスを盛り上げていきたい。多摩イーソーコが成長することで、共進倉庫さんのビジネスの後押しになればいい」

◆LIS社長 岩瀬純子氏

出村「岩瀬社長はどのくらい前から物流不動産ビジネスをご存じでしたか」

岩瀬氏「弊社前社長とイーソーコ大谷会長とは20年の付き合いがあるが、私は2年前のNBKセミナーの大谷会長講演で物流不動産ビジネスに興味をもった。大谷会長が執筆された書籍を数冊読み、理解を深めているところ」

出村「社長へのご就任と会社名変更(丸新運輸からLIS)が今年の8月となりますが、イーソーコとの資本提携の関係となったこの1年間について変わったことをお聞かせください」

岩瀬氏「当社ドライバーは年齢層が高く、イーソーコから物流不動産ビジネスユーティリティードライバーを派遣してもらう前は私が最若手だった。イーソーコのドライバーに入っていただいた最も大きな効果は、社内のIT化が進んだこと。その結果、標準化、平準化が進み、社員が休んだ際にもお客様にご迷惑をおかけすることはなくなった」「当社の社員は携帯電話をいやがる世代だったが、社員全員にスマホを支給、LINE講習会を開いた。各自わからないことを全員に共有して引き継ぐことで、社内業務の生産性が大幅に向上した」

イーソーコの若いメンバーは、岩瀬社長のお人柄、きめ細かい指導に触れることでファンとなり、LISで働きたいという思いが強くなっているようです。

出村「LISさんで進める物流不動産ビジネスユーティリティードライバーの効果をお聞かせください」

岩瀬氏「ドライバーにとって配達先のご担当の方は顔なじみで、信頼関係を築き上げることができているからこそ、いただける情報がある。その情報をイーソーコ営業部隊とも連携し、案件につなげていきたい」「近隣のGS店長から倉庫を探しているというお客様を紹介してもらった」

出村「物流不動産ビジネスは情報ビジネスで。情報は収益につながりますね。この一年を一言でいうと?」

岩瀬氏「激動の年だった。作業着を着て現場で汗を流してきましたが、今では経営の立場から現場を支援することにシフトしている」「今後は物流不動産ビジネスユーティリティープレイヤー、ドライバーの人財育成に注力する。運送部門でイーソーコグループのリーディングカンパニーになれればいい」」

 

最後に出村は「物流不動産ビジネスは掛け合わせのビジネス。参画する会社の数だけ可能性が広がる。ぜひいっしょに業界化をしていきましょう」と会場に呼びかけを行いました。

 

  *  *

 

その後開かれた懇親会では、会長・大谷が締めの挨拶を行いました。

「EV(電気トラック)がラストワンマイルで本稼働される時代が到来。電気自動車は部品点数が3割削減されると物流のネガティブなことを言っている間、日本は外国に大きく差を付けられてしまった。留まっていても世界は動いている。フィジカルインターネットを取り入れたウーバーイーツは物流以外の何者でもない。近い将来、白ナンバーがラストワンマイルを担う時代となる可能性もあるのに、物流業の経営者は先を見据えないといけない。イーソーコの事業に興味があるならご連絡ください」と語った後で、「動かないとダメ! 皆さんの将来を明るくするぞ!」と呼びかけを行い、会場の大きな掛け声とともにガッツポーズで一体化してお開きとなりました。