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【緊急対談】江島裕氏と大谷が暴露する「物流不動産の嘘と稼ぎの真実」とは!?(1-3) 

 江島 裕            ×   大谷 巌一

(物流イノベーション塾塾長)        (イーソーコ会長)


腕利き物流コンサルタントで知られる江島裕氏(物流イノベーション塾塾長)と

イーソーコ会長の大谷巌一の対談が11月、ZOOMを用いてリアルタイムで
公開された。お互いの存在を知ってから20年間、一時はライバルだったふたりだが、
「物流不動産の嘘と稼ぎの真実」をテーマに、本音で語り合った。

3回連載の第1回目は「物流不動産ビジネスの嘘」とは?

 

物流不動産ビジネスの嘘

江島 私は物流コンサルティングをしています。学生時代にバイトで痛めた背中の治療がきっかけで、正社員採用してもらえる会社を探したところ、ご縁があって東京システム運輸株式会社に1984年に入社。2009年まで在籍の間、延べ12万坪・23箇所のサブリース倉庫の業容を確立し、親会社以外の外販事業を28億円から123億円まで伸ばした実績があります。最近の主な業績として、国内通信会社と中国の大手通販会社の物流マッチング、自動車部品メーカーの外販事業などを手掛けているほか、大塚製薬グループの物流会社・大塚倉庫の物流共通プラットフォーム事業を支援させていただいています。大塚倉庫さんとの取組みは日本ロジスティクス大賞(主催・日本ロジスティクスシステム協会)を2年連続(2015年、16年)で受賞する栄誉を得ました。最近は、物流会社の次世代経営幹部育成のためのスクール「物流マーケティング塾」も開講しています。

大谷 私は1981年東京倉庫運輸に入社しました。モノを預り、出し入れする地道な倉庫業で、入社当時から「もっと儲かる仕事はないのか」と考えていました。バブル期に子会社の運営するジュリアナ東京の事業に携わりました。私のようなズレている倉庫マンを送り込めと厄介払いされたようです(笑)。ジュリアナ東京でいろいろな出会と学びのなか、倉庫業とは一線を画す不動産業がかなり魅力的なビジネスであることに気が付きました。バブル最盛期は、一夜にして、銀座の土地が高騰して数億円の金が飛び交う時代です。

倉庫と不動産業の共通点は空間ビジネスであること。そこで私は不動産のビジネスの幅を拡げるため、 1990年に宅地建物取引士を取得しました。その後、私は倉庫業と不動産業の営業領域を融合した物流不動産ビジネスを創始しました。ここにいらっしゃる江島さんとは20年来のお付き合いがあり、知り合った15年間は手強いライバルだった。嫌なライバルでマスターリース案件をどんどん仕事を奪っていく。

江島 だからこそ、今、物流不動産で稼げていないこと自体が嘘ではないだろうかと思うのです。なぜ稼げていないのか、なぜ売上が上がらないのか、なぜ新しいお客さんを獲得することができないのか――。これは重要な課題であると考えています。ぜひ物流不動産の生みの親である大谷会長にそのあたりを聞いてみたい。

大谷 端的にいうと、バブル崩壊後の失われた30年の期間にも右肩上がりに成長する中小の倉庫会社、運送会社は存在します。そういう会社には倉庫賃貸業を倉庫業・運送業と絡めて推進するクレバーな動きがあります。江島さんの古巣の東京システム運輸さんも同様、「物流業者でござい」という顔をして不動産まで手掛けている会社は、物流業界に加盟しながら物流不動産を手掛けていることは立場上言いにくい一面もあります。私と付き合いのある会社で、物流不動産ビジネスのロジックを熟知した後は売上は伸びていますが、見よう見まねでやろうとしてもまず稼げていませんね。

今の時代、情報イコールお金です。情報をキャッチするアンテナの数が多いかどうか。運送業ならトラック協会、倉庫なら倉庫協会、不動産なら不動産協会などの団体がありますが、これらのビジネスを複数絡ませているのか。物流不動産ビジネスの場合は物流を基軸に、不動産もあれば建築も金融の要素もあります。アンテナが多角的に張り巡らされているからこそ、稼げるチャンスは十分あると思います。

江島 私自身が物流不動産の営業を始めたときは、物流不動産ビジネスという名称ではありませんでしたが、当時一番着目したのは、大谷会長も言われたように「情報」のスピードです。「倉庫を探しています」という情報が飛び込んできたら、人脈を活用して物件を探し始めます。それが他の物流ビジネスにつながります。私自身は情報を中継するだけの役割でありながら、倉庫内作業のほか、運送案件も受託することで、ビジネスの振り幅が大きく広がっていきました。

大谷 不動産業者は加点主義です。仲介はやらなきゃ儲からない、しかし、やった分はフィーが上がるため、物流業とは商慣習が全く違います。物流不動産ビジネスとしてまず始めることは人脈作り。情報を取りに行き、情報を上げることによって、新しい情報を入手できます。入ってきた情報に対し、縦方向・横方向からの営業展開ができるようになります。

江島 倉庫を商品として扱うと、空き倉庫を売らなければならないという制限がかかりますが、角度を変えて、お客さんの課題や悩み、ニーズを聞き出せば、「ここを使ったらどうですか」というソリューションを提案できます。そこに気がついたことが自分のターニングポイントでした。その手法に変えた途端、どんどん売れるようになり、これで食っていけると思ったのが20年前。スタートは大谷会長と同じ時期でした。

東京システム運輸時代、3PL事業として、食品配送センター業、ドラッグストア配送センター、コンビニの配送などをやっていました。それが順調に稼働していくにつれ「江島に倉庫をお願いすれば、何とかなる」といった口コミで評判が広がり、他の小売店チェーンさんからもお声がかかるようになりました。そこで、売上へのトリガーとなるのが倉庫の坪数でした。1000坪の配送センター用倉庫」という依頼なら、私は1000坪ではなく、3000坪規模の物件を探します。調達物流や加工業務などの作業を行うスペースなど、足し算の法則でいろいろ合わせていくと3000坪くらい必要となるからです。

「3PLは物流不動産ビジネスの応用技だ」と大谷会長も書籍で書かれていますが、まさにその通りだと思います。最初はお客さんが探している坪数通りの倉庫を探していましたが、3PL事業を受けることを前提にすると、坪数を自分で決めることができるようになりました。倉庫はあくまでもハードで、どうやって使うのかというソリューションを考えれば、ビジネスの展開が大きく変わります。経験則で1坪あたり年間10万円程度稼げることはわかっていましたので、1000坪では年1億円にしかなりませんが、3000坪では3億円の売上を立てることができます。3倍です。

大谷 よくわかります。

江島 私の営業範囲の坪単価は当時4000円程度でした。そこで荷役や運送の仕事を受けると、平均で坪当たり8000円の売上となります。年間10万円だから、単純に1億円増やそうと思うなら1000坪を確保すればいいことなり、それが次第にふくらんでいきました。

大谷 ZOOMで見ている皆さん、聞いてください。この人は普通じゃないでしょ、良い意味の”ヘンタイ”詐欺師ですよ(笑)。江島さんは当時、東京システム運輸の役員でしたが、インセンティブが入るわけではなく、ボーナスが入ってくるってわけじゃないんですよ。埋まらなかったら社内でボコボコにされるのに、高揚感なのか、スリルを味わおうというのか、ビジネスが大好きな、とにかく敵に回すとやっかいなライバルでしたね。江島さんは一年間でどのくらい庫腹の記録を伸ばしましたか。

江島 一番増やしたのはリーマンショックのあった年です。2008年に約2万坪増やしました。先程の計算でいうと、20億円の売上があり、退社する際に置き土産にできました(笑)。

大谷 実にスマートでかっこいい! 江島さんの場合は事実実態に基づいた肌感覚のいわば実戦空手! 今では「物流マーケティング塾」で後進にそれらのメソッドの一部を伝授されている。ヨイショでも何でもなく、この塾には非常に興味があります。

江島 最後に宣伝みたいで申し訳ない(笑)。2021年1月9日に「物流マーケティング塾」を開講します。物流会社大手が、これまで以上に多角化し、私たちの市場を荒らしに来ています。ITを武器にした、新参のライバルも増えていきます。そんなライバルだらけの実力勝負の市場で勝ち残るためには一体何を準備しておくべきなのか? 差別化どころではなく、圧倒的に違いすぎてライバルが全滅する“独自性”の打ち出し方は、もうマーケティングを学び、かつ実践するしかないとして、物流マーケティング塾を開講します。講義&ワークショップは月1回・土曜日(合計6時間)に開講して、録画にて復習もできます。その他、勉強会と個別面談、3者面談も行います。

また、2月9日には新たに開講する「物流イノベーション塾」の説明会オンラインイベントも行います。イノベーションなき事業者が顧客を奪い合うと、陥ってしまうのが価格競争です。そこから先はリソースやオペレーションの質で競うしかなくなります。市場のシェアを奪い合う消耗戦になると、リソースの多い大企業が圧倒的に有利であることは事実。だから、我われのやるべきは、世の中では未解決のままであるが深刻な課題にフォーカスすることです。解決策でなく課題にフォーカスする技術があれば、個人向けや一般家庭の市場も取れるんじゃないか、という考えは、大間違いです。良い解決策であったとしても、売れる商品というわけではないのです。こういった私の持論を、当日お話させていただきます。この対談をご覧になられているような、志の高い皆さんにぜひご参加いただきたい。

大谷 宣伝はもういいですか(笑)。冗談ではなく、物流マーケティング塾、物流イノベーション塾とも非常に興味があります。江島さんのような天才からさまざまなテクニックを盗めるチャンスですね。物流不動産ビジネスが追い風に乗り、ポストコロナを踏まえたニューノーマルで物流不動産ビジネスが拡大しています。本日の対談で一人でも多くの方にヒントにしていただければ有り難い限りです。本日はご多忙のところ、緊急対談にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

(続く)

□物流マーケティング塾・初級のご案内
 2021年1月9日(土)開講
 http://loginnovas.com/bmj1st_guide

□物流イノベーション塾・説明会
 2021年2月9日(火)14:00~オンラインセミナー 
 http://loginnovas.com/lis_information2021.02.09