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バイアス評価(他人が正義) − 第3回 物流不動産営業12の心得

 営業活動は言葉を変えれば他の人への説得であり、共感を誘導するものと言える。何より私が中心となって、他の人への働きかけそ のものが営業活動の原点にある。すると、私は何に正義を認めているか、何に正しさを信じているか、何が大切なものだと思っているか、という自分への問いか けが最初に必要となる。
 私が正しいと思わないところに誠意や意欲、努力の継続はありえないからだ。しかし、意外と勘違いや過ちがココに生まれている。たとえば、以下の文章を声 を出して読んでみて欲しい。どれもが正しそうで、どれもが正義であり、真実であるように錯覚する。しかし、似て非なるものが確かにある。

 ○私が考えていることが、正しいと思う
 ○私が作り出したものに、他の人は価値を認めるものだと思う
 ○私の考えていることに、他の人は価値を認めるものだと思う
 ○私が作り出したものを、私は正しいと思う

 いずれも深く読むことによって、独断と偏見、強引と強制、とても共感を誘導するとはいえない言い方になっていることに注意したい。かろうじて、謙虚さとアプローチを工夫しなければいけないという慎重さが現れるのが、
◎ 私が作り出したものに、他の人は価値を認めるものだと思う・・・・信じたい。

 これこそが営業の原点にある誠実さと謙虚さの見事な姿だ。
 
 営業トークの端々に漂う強引さ、無理な誘導、下心は隠そうとしても姿を現す。
 得意先が女神のように澄んだ心の持ち主なら、すぐさま気づく下心や仕掛けは営業では禁物だ。提示する手の内以前に警戒されるのは得策とはいえない。

 伝説の営業マンの話や伝記は読んだことがあるだろう。事例は豊富だが、決して手の届かないスーパーマンではなかったはずだ。むしろ朴訥で不器用で 誰でもできそうな、でも根気のいる丁寧さが印象に残っているはず。これこそが営業マンに不可欠な資質である誠実さと謙虚さなのだ。それは言葉で言うことは 易しく、けれども思考や態度、立ち居振る舞いまでを徹しようとすると縁遠くなるものだが、「私の考え、そして作り出したものに、他の人は価値を認めるもの だ」という信念の行動には女神を揺り動かす力が備わるものだ。

 バイアスとは斜に構えた力、強引さ、思い込み、無理強いする態度のことだから、素直さには欠ける宿命がある。財布は他の人が持ち、我はそれを狙うなら、持ち主に全権の利があり、覚悟があることを知らねばならない。
 そのことを顧客主義といい、顧客満足経営と呼び、自らの独断を戒めているのだ。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)