【(株) イーソーコシステムズ代表取締役社長/行元瑛紀氏】34歳社長が語る「今、経営に必要な視点」(Vol.3) 
イーソーコグループは、物流不動産ビジネスの業界化に向けて、若手経営人財の育成に注力している。昨年は20〜30代の社長が3名新たに誕生し、次世代のリーダー候補も多数育成中。こうした取り組みの一環として、㈱feelyou経営デザイン研究所の協力のもと「創業塾」を開催した。受講者6名にリレー形式で、受講の感想と今後の展望を聞いていく。
第2回となる今回は㈱イーソーコシステムズ代表取締役社長の行元に話を聞いた。
㈱イーソーコシステムズ代表取締役社長 行元瑛紀
2014年から2022年にかけて、別会社のシステムエンジニアとしてイーソーコグループ各社に派遣される。派遣会社を退職後、2022年に株式会社イーソーコドットコムへIoT担当として入社。
2024年、株式会社イーソーコシステムズの代表取締役社長に就任。
現在は、イーソーコグループ社内および関連会社のIT環境改善に加え、ITに課題を抱える新規顧客への提案営業にも注力。回線工事、ハードウェアの設置、システム導入など、ITインフラに関わる業務請負を通じて、ビジネスの領域を着実に拡大している。
1.プログラムに選ばれたとき、どう感じましたか?
創業塾への参加はありがたいことでしたが、当時の弊社はちょうど事業の移行と立ち上げの時期で、最も忙しく、経営が軌道に乗るかどうかも危ういタイミングでした。
今回の創業塾は、約1ヶ月半にわたり毎週水曜日に長時間の参加が必要で、課題にも取り組む必要がありました。立ち上げ期の今、この時間の確保には不安もあり、
「今は受けるべきではないのでは」と感じたのが正直な気持ちです。
ただ、現状の立ち上げにおいてがむしゃらに動いていることに課題を感じていたのも事実です。会社の立ち上げは初めてのことですから、全ての動きが効率的とは限らず、無駄な時間も多く発生してしまいます。「一度、しっかり学んでみた方がよいのではないか?」という思いに徐々に変化していきました。
2.参加の動機や、もともとお持ちだった問題意識について教えてください。
まずは、会社として動ける体制づくりが最優先でした。
経費精算や請求など、基本業務の仕組みを整えたうえで、会社を立ち上げる意義をどう深めていくかが次の課題だと考えました。
当然、「イーソーコシステムズ」という名前である以上、ITを活用して課題解決を進めることになりますが、ITはあくまで道具。重要なのは、どの方向に問題解決を進めるかという視点です。
例えば、グループ内で使われている書類フォーマットの多くは長年使っているもので、クラウドサービスが主流の今ではやや時代遅れに感じる部分もあります。
もちろん、進んでいる領域もありますが、導入の勢いに任せて進んだ結果、全体としてちぐはぐな印象も否めません。
社内の判断基準やフローについても、不要な業務の見直しや仕組み化・効率化が必要だと感じており、そのためには改革を無理なく進められる仕組みが不可欠です。
イーソーコシステムズは小規模部門からのスタートだからこそ、「小さく始めて、成功事例を広げていく」ことが可能です。グループ内で実績をつくれば、外部のお客様にも展開できると考えています。
また、事業が軌道に乗れば、新たな取引先の開拓や、自社の強みをどう伝えるかといった課題にも直面していくはずです。
創業塾には、そうした「どこにアプローチすべきか」「どう伝えるか」といった視点を学ぶために参加しました。
3.「社長になりたい」「会社を経営したい」と思ったきっかけや理由はありますか?
起業を意識したのは20歳の頃。もう14年前になります。
きっかけは、「年功序列は終わった」というネットニュースを見たことでした。調べていくうちに、正社員制度の仕組みに疑問を持ち、「正社員として一生やっていくのは難しいのでは」と感じるようになりました。
やがて「社長としてやっていく力を持たなければ危ない」と思うようになり、20歳〜21歳でアルバイトをしながら起業しましたが、結果は失敗でした(笑)。
当時から、「ITの進化は目覚ましいのに、その恩恵が社会全体に浸透していない。このギャップが広がれば困る人が増える。ならば、自分がその恩恵を届ける立場になろう」と考えていました。
最初はSSDを搭載したPCを販売しようと動き始め、知人に1台売れたものの、その先は伸びず。
方向転換してPCの使い方を教える動画配信を始めたところ、徐々に購入者が現れ、スマホや他のデバイスも扱うように。最終的には情報商材に行き着きました。
真面目に教材として作ったつもりでしたが、「詐欺では?」「納税してるのか?」といった声も上がり、不安になってしまいました。
起業については誰も教えてくれず、自分で調べても限界があり、自信を失っていきました。
「これは無理だ、正社員になろう」と思い直し、就職を決意しました。社長としてどっしり構えるには、当時の自分にはまだ早かったのだと思います。
その後は正社員として経験を積み、31歳で社長就任の話が出たときに自ら希望し、33歳でイーソーコシステムズの社長に就任しました。
4.参加を通じて、自分自身の中で特に成長を実感した瞬間や出来事はありましたか?
印象に残っているのは、グループで行った「SWOT分析」です。
一人で行うのとは違い、複数人で意見を出し合うことで多様な視点に触れ、大きな気づきがありました。
体験を通じて、多角的な視点の重要性を実感し、自分の限界を具体的に感じることができ、成長を実感しました。
創業塾後に新サービスの立ち上げ時、社内メンバーと初期構想を練る際も、グループワークのように意見を引き出し合うことで、リスクや強みを明確にし、提案の精度が向上しました。
また、自分の意図が社員に伝わらず焦って早口になることが多かったのですが、創業塾で紹介された表形式の説明方法を活用し、ホワイトボードを使って共有することで、社員の理解が格段に進み、今も役立っています。
最後に、今後の展望について教えてください。
すでに業務は始まっているため、まずは「会社を潰さないこと」が最優先だと考えています。
現実的な話になりますが、社長という立場で会社の収支を見るようになると、その一つひとつの数字が本当にスリリングです。
その現実をしっかり受け止めた上で、会社の理念である「まだ届いていないところまでITの恩恵を」を実現するべく、中小・零細企業の皆さまにIT導入による価値を届け、社会と会社の双方の発展に貢献していきたいと思います。
頭の中では、5年後には会社は今の2〜3倍の規模になっていて(笑)、より安心してサービスを任せてもらえる会社になっていると思っています。
今後とも、よろしくお願いいたします。
【イーソーコ創業塾】
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