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矢野経済▼2008年SCM市場142億円、前年比24%増の高成長見込み 

2008年08月18日

【LNEWS(http://www.lnews.jp)】矢野経済研究所は、SCM市場動向に関する調査結果2008をまとめ、2008年のSCMパッケージライセンス売上高(エンドユーザ渡し価格ベース)は142億円と前年比24%増の高成長が見込まれ、2011年には228億円に達すると予測している。
調査は今春、国内SCMパッケージベンダー15社などに調査を行ったもの。
1990年代後半に、欧米発の新概念として需要予測機能が注目され、SCP(Supply Chain Planning)導入ブームが起きたが、「予測数値が当たらない」などの失望から沈静化した。しかし、企業の意識は変わり、現在では現場での活用方法の見直しや業務改革を含めた再検討が行われ、生産のリードタイム短縮や在庫最適化を実現する実効性のあるSCPの導入段階を迎えているという。
原油価格高騰、グローバル化、業界再編などの急激な環境変化の中、変化への迅速な対応、競争力強化、コスト削減等を目的としたサプライチェーン改革への関心が高まっている。
企業のサプライチェーン改革においては、『全体最適』と『見える化』の実現が重視され、システム化に際しては、海外拠点を含むサプライチェーン全体の最適化、生産や在庫状況の可視化による在庫削減、問題把握のための主要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)管理などがポイントになる。
さらに、原油価格高騰のため、国内外、企業規模を問わず物流費削減が企業の重要課題となっている。特に輸送コスト削減のニーズが高く、輸配送管理システム(TMS:Transportation Management System)の導入が進んでおり、TMSを含むSCE(Supply Chain Execution)領域の成長率が高いと見込まれる。
製造業では、生産工場の海外移転が進むと同時に、販売先としてもBRICsなど海外市場への依存度が高まっている。グローバル物流は、国内物流以上に距離と時間が掛かり、運輸会社などとの関係もより複雑になるため、効率化が課題となっている。大手ITベンダーは相次いでグローバル物流管理をターゲットとした輸配送管理システムの製品ラインナップを強化している。一例では、2008年に、SAPジャパンがSCM製品の新バージョンを発表、日本オラクルは企業買収により新製品を投入している。
注目技術はRF-ID(無線ICタグ)であり、製造や流通の現場で実用段階を迎え、タグ1個当たりのコストや読取精度などの課題解決が進むと、利用の裾野が一層広がる見通しである。
RF-IDの活用によって、従来とは異なる高いレベルでの厳密な個体管理が可能になり、トレーサビリティの実現、リアルタイムの在庫管理、温度管理など、付加価値の高い管理体制を実現する用途開発が進んでいる。コスト削減や管理品質向上の面で、同技術は、SCM改革に大きな役割を果たすと期待される。
なお、同研究所では「SCM市場の実態と戦略展望2008」として157,500円(税込み)で販売している。