物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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倉庫の一等地 - 106 

店舗なら銀座、オフィスなら大手町・丸の内など、不動産にはその用途ごとに「一等地」とされている土地が存在する。各地に存在する高級住宅地を例に挙げるまでもなく、住宅にも一等地はある。ホテルにも一等地とされる立地があり、かつては熱海、今は舞浜とされている。しかし一等地として認められている土地がいまだに存在していない分野もある。倉庫や物流施設だ。

ここ数年来、物流形態の変革や外資系ファンドからの資金流入、新規デベロッパーの参入などにより、大規模高機能型物流施設の建設ラッシュが続いている。この状況は奪い合いに近いような建設用地の取得競争を一部で現出したが、ではこのようなニーズの高い用地がいわゆる「一等地」かというと疑問が残る。仮に一等地という概念を事業用不動産という観点から見れば、賃料や稼働率、売価などにあらわれるような流通価値の高い土地と言い換えることもできる。だがこのような大規模高機能型物流施設が多く立地するエリアを「一等地」と呼ぶに足るようなマーケットが、一過性ではなく継続性を持って存在しているかといえば、答えは否だろう。

不動産的な観点を離れた一般的な「一等地」の概念とは、必要とする条件を最も満たした土地のことといっていい。しかしこれは多分に相対的な概念で、用途によって評価は全く変わってくる。例えば、ラーメン屋にとっての一等地は宝石店にとっての一等地ではない。ある者にとってはまたとない好適地であっても、別の意図をもった者から見れば二流、三流の立地かもしれないのだ。

これは逆もまた真なりで、多くの者にとって二流、三流とされる立地でも、条件の合う者にとってはまたとない「一等地」となり得る。そう考えれば、この特定の「条件の合う者」に対する訴求力の強化こそ、空きをかかえる施設にとって必要なのではないだろうか。自身の倉庫を「一等地」にできるか否かも、努力次第で決まるのである。

(久保純一)2015.03.05