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アメリカ物流トレンド見聞 その5「伸び悩むコンテナ船の運賃」 - 152 

2016年ももう7月に入ったが、海上運賃が相変わらず伸び悩んでいる。

今年は世界的に、海上運賃が史上最安値規模のボトムをうっている。なぜか。ずばり、供給過多。船の造りすぎである。

2007から2013年にかけて断続的に巨大コンテナ船の発注があった。当時の経済を見通す要は中国だ。世界の工場といわれた中国でいかに安く大量につくるかが生産の課題で、そこからいかに安く大量に運び出すかが物流の課題。端的にいえば、いかに多くの製品を上海から運びだせるか。経済がひとつのピークを迎えていたこの頃、相次いだ巨大コンテナ船の発注は中国の経済成長を期待してのことだが、ご存知の通り、中国経済は減速。

当時発注された船は約3年後の今年になって市場に出回ってきたわけだが、今の経済状況からすれば大きすぎて使い道がない。貨物絶対量は増えていないので、完全に供給過多状態である。これは日系船社に限ったことではない。せっかく出来上がったぴかぴかのコンテナ船も活躍する場を失い、沖にぷかぷか浮いている。海運会社も、少しでも船腹を埋めて損失を抑えたいので、運賃を安くして貨物を取りに行く。不定期船の指標となるバルチック海運指数も、2月に過去最低に。その結果が、今年の運賃動向である。荷主にとっては嬉しいニュースなのだが。

とはいえメリットばかりではない。海運会社も採算の悪い航路を停止したり、週3便あったのを2便に減らしたり、スピードを遅くして燃費を食わないように工夫したりと、何らかの対応をとって乗り切るしかない。そしてこれまで使っていた航路がなくなったりLTが伸びたりすれば、荷主にとってはデメリットである。結局ツケは荷主に降りかかってくるわけで、嬉しい状況は一過性に過ぎない可能性が高い。

最近も、新たに20,000TEUの船を発注したとかいう記事を見た。もちろんCO2削減とか、規模の経済とかメリットはあるのだろうけれども。はっきり言ってこのサイズ、いま必要あるのでしょうかね。

(日本物流不動産株式会社  代表取締役 池田晃一郎)2016.07.05

 

日本物流不動産株式会社:平成25年設立。倉庫賃貸をはじめ、倉庫や事務所等の商業用不動産の仲介、外国人向け物件紹介サイトの運営が主業。物流業務に役立つ「物流不動産英語塾」や高品質なメイドインジャパンのアジア向けEコマース事業も展開中。

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