見出し、引き出すこと education―第25回 物流不動産Bizの人材開発
人材育成とは与えることではなく、引き出すことにある。教育が単に指導や与えることなら、無垢の新人以外に対象はなくなる。知識や技術だけをカリキュラムにするなら、指導者はいらない。ネット動画で十分だからだ。
経験者や中途採用者には社会経験を活かした応用技術を見出し、伸ばすべきである。
物流は全ての産業と業務プロセスと関わっており、以前の経験を生かしそこに追加することが重要である。最も物流に関しては、普段からの思考態度や業務姿勢には標準化が欠かせない。標準化とは、単純化では無い。一般に教育体制とは、標準化を目指すために、対象者に到達度だけを成果目標とすることがあり、それは平凡な均一人材を求めていることと同じである。
しかし、組織にとって平凡な平均点を目指すなら、そこにあるのは停滞でしかない。組織における優れた人材とは、非凡な個性を発揮すべき者で固める必要がある。革新や改革、進化は柔軟な発想からしか生まれないからだ。
非凡な才能を引き出すとは、持っている資質を伸ばすことであり、強みや個性を重視することに他ならない。
長所を伸ばせば短所を上回り、欠点は差引によって帳消しとなるものだ。この様な個性にあふれた人材を揃えることこそ、教育や育成の目的であり、成果としなくてはならない。
横並びを好む姿勢こそ避けねばならないものであり、伸ばす引き出すことの大切さを常に振り返る必要がある。このことを人材の多様化というのだ。
人材育成における統制はルールで示す必要がある。生徒手帳に綿々と連ねるものではなく、クレドと呼ばれる企業理念に通じるものが重要だ。
企業クレドには外してはならない要素がある。
■我々はなぜ、組織と集団を維持しているのか?
■どの様にして我々は目的を達成できるのか?
■我々は日々、何を為さねばならないのか?
企業理念もクレド信条も3つの順番が重要になる。それはWHY. HOW. WHAT であり、逆ではない。育成においても示すべき方針はこの順序でければならない。
●従事する理由
●従事する目的は何か
●従事するとは、何をする事か
これらの3点をつねに振り返り、相手の優れた個性を引き出すことに専念してほしいものだ。
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房 陵