物流不動産ニュース

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自律性 We are the BACK. − 第1回 現場のスローガン 物流改善12の視点

30年間のコンサルティング経験で、数多くの工場や倉庫を見てきました。優れた現場、見事な職場には共通するトピックがあるのです。元気がいい、仕事がて いねい、場内の整理整頓がゆき届いている。良い印象は瞬間で感じることができます。ダメな職場も同じように空気や匂いで分かるようになりました。不思議な ものです、それは職場が生み出す空気のようなものでもあり、働く人々の印象やフィーリングのようなものでした。
 なかなかコトバでは言い表せませんが、発見したのは職場に貼ってある掲示板、スローガンです。
 <整理整頓><ミス撲滅><お客様満足><残業なしで帰ろう><安全を全てに優先する>・・・本当に多くのスローガンと掲示したコトバがあるのです。
 どこも似たようで、ちょっとした違いが確かにあったのです。本当に優れた職場、磨かれた現場に共通のキーワードを解説してゆきましょう。12個のスローガンです。

1 自律性  
 物流部門は組織上、営業や製造に従属している場合もあります。だからといって、仕事がすべて製造や販売の後処理になってしまってはいけません。現場が営 業や工場に支配されていると「言われたことだけする。できて当たり前。提案や働きかけは、わがままだ。」という消極的な役割で終わってしまうのではありま せんか。
「物流が経営戦略の重要な役割を持っている」というのは、決して後処理がうまい部隊ということではなく、本当に重要なこと、必要なことを率先して仕掛けてゆく独自性が、経営面から求められているということなのです。
 We are the BACK. 我々の後には何もない、すべてを受け止める覚悟 
 営業や生産の最終処理を担うのが物流で、代金の精算やお客様への最終接点を持ち、最後の交渉を行うのが役割なのです。ここでの成功が売上につながり、お客様との信用の積み上げにつながり、企業全体の評価をいただくことになります。
物流マンたる我々は、社内のすべての問題をこの現場で解決し、後ろには何も申し送りできない状況にあることを肝に銘じたいものです。
「最後の砦」というのが物流現場にもっともふさわしい称号だと言えるのです。
 販売計画や生産計画が振れることもあるでしょう、すべてが予定どおりに商品が入荷しなかったり、急激に出荷が始まることもあるのです。そんな時でも、常に起こりうる事態を予測して、覚悟していることが最後の砦の役目なのです。
「誰にも支配されない覚悟、自分たちが会社を支えているプライド」があるのとないのとでは職場の雰囲気が全く変わるのです。
いつも後処理で疲れているのか、想定内のトラブルをきれいにクリアするのとでは充実感が、志気が心意気が変わります。毎日の仕事では様々な事件やトラブル が発生していますが、まったくもって初めての経験は少ないはずです。先週も、先月も、去年も同じような経験を重ねてきているはずです。そのことを知って、 現場は自分たちが仕切っている、特別な干渉や指図がなくとも、安定して運用できる事、何より自律性が最も重要なのではないでしょうか。『自分たちで決め て、自分たちで守る』それが自律性です。

(イーソーコ総合研究所主席コンサルタント 花房 陵)