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日本ファンを増やすことがビジネスのポイント 

 5月に出揃った上場物流企業の多くは、海外売上高を伸ばしており、中期経営計画でもアジアを中心に海外事業の強化を掲げている。こういったグローバリゼーションの流れの中、自分らしく輝いて生きるには、英語などの外国語を身につけ、外国人とのコミュニケーションを積極的に行い、生きる力を高めることが必要ではないか。人生にも物流の仕事にも役に立っていく。コミュニケーションといっても、格好つける必要はない。外国人と気軽に交流し、日本のファンになってもらうのも大事だと思っている。
私が米国の留学や外国に行ったときの経験から、現地の人々に親切にしてもらったり、美しい景色や歴史的建造物を見て感動したりすれば、その国を好きになる。その国を好きになれば、再びビジネスでその国を訪れたとき、気持ちよく仕事に取り組めるだろう。私の場合、一番初めに影響を受けたのが米国であり、その後も、米国の物流と長く付き合うこととなった。意外にそんなささいなことが、ビジネスを円滑に進めるポイントになるものだ。
 先日、毎年の行事であるがオクラホマ州立大学の学生達との交流をした。この大学は足掛け18年、毎年20人程度学生を日本に派遣している。企業を見学し、日本の文化を学ぶ目的でやってきた彼らとの交流で大いに刺激を受けた。彼らとともに、東京大学、新日本製鉄君津工場、富士フイルム、トヨタ自動車、筑波産業技術総合研究所などを見学したが、ここでびっくりしたのはどの訪問先でも案内をしてくれた日本人は、皆、英語を流暢に話せることだった。
 日本人は英語ができないとよく言われるが、英語の話せる日本人はたくさんいると思う。ただ、完璧を求めるばかりに、通訳のように流暢に話せるレベルでないと英語ができるといえないと思い込んでいるのではないか。簡単な会話なら高校卒業程度の学力で、なんとかなるものだ。流暢に話せる必要はない。必要なのは、相手とコミュニケーションしようとする気持ち。自分のことをオープンにし、ざっくばらんに話してみる勇気が大事なのだ。
 今回来日した学生達は、日本の学生、技術者と交流し日本を好きになってくれたようだ。京都や広島の美しい景色、歴史的建造物に感動し、口々に「また日本に来たい」と言ってくれた。これが将来のビジネスに繋がっていくだろう。
 さらに、留学生の支援も日本のファン作りに重要だと思っている。ロータリークラブでは、日本初のロータリークラブを作った米山梅吉を記念した「米山奨学金」という返済不要の奨学金制度を設けており、優秀な外国人学生を毎年800人も支援している。日本語ができることが必要であるので中国人、韓国人、台湾人などが受給者に多い。この奨学金のOBは、帰国後母国で政府や企業の要職に就いたり、日本で活躍したりしている人が多い。日本での経験を生かし、活躍している人たちが日本ファンでいてくれることは、国際社会で日本の地位を高めることにつながると思う。
 このグローバリゼーションが進展していく世の中で日本にこもって、仲間とだけ馴れ合っていてはいけない。若い人たちには、旅行や留学で海外経験を積み、日本にいても外国人と交流する機会をなるべく持ち、常に広い視野と深い教養を養ってほしいと願っている。

<プロフィール>
 池田光男 1969年5月米国オクラホマ州立大学大学院卒業後、米国での会社勤務を経て、71年11月東運開発専務取締役、87年5月代表取締役に就任。72年4月東京倉庫運輸社長室長、89年6月常務取締役、91年6月取締役副社長などを歴任し、現在、東運開発代表取締役社長。