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イーソーコ総研▼花房氏が日通総研でIFRSセミナー 

2010年11月19日

 イーソーコ総合研究所(本社・東京、河田榮司社長)の花房陵主席コンサルタントは11月17日、日通総研(本社・東京、大前隆一社長)主催のロジゼミで「IFRS(国際会計基準)が物流現場にやってきた」と題し、セミナーを開催。有料セミナーながら物流企業や、製造、流通企業から約60人が参加した。
会場の風景
人数が予定より多く集まり、セミナーの会場を変更した
 花房主席コンサルタントはIFRSの現状について「各企業の担当者や公認会計士、監査人が勉強中の状況。これは新しいビジネスチャンスとなる」とした。
 「なぜIFRSにしなければいけないのか?」といった質問を多く受ける花房主席コンサルタント。そのため、IFRSの導入に至った経緯などを説明。日本企業の場合、外国人投資家から見ると“不動産の含み益”や“のれん代”などが含まれた決算数値となっていた。アナリストのレポートがないと、企業が本当に儲かっているのかが判断できなかった。日本国内だけであれば問題なかったが、グローバル化で、外国企業とのビジネスを行う場合や、M&A(企業の合併・買収)、日本企業への海外からの投資などが増加。今までの決算書では対応ができなくなったという。
 「IFRSの対応は、上場企業だけだから大丈夫と油断していてはダメ」と花房主席コンサルタントは語った。たとえば、自分の会社が海外企業とビジネスを始めるならば、IFRSに対応した決算書は必要になる。自社の顧客が上場していれば、IFRSに対応したサービスを提案していかなければならない。関係ないと思っていても、自社の顧客が海外企業からM&Aされる可能性もある。そうなれば、こちらもIFRSに対応したサービスを提供しなければならない。中小企業といえども、IFRSは無関心ではいられない。
花房陵主席コンサルタント
「IFRSの導入は上場企業だけの問題ではない。いつ、自分の身に降りかかってくるか分からない」と花房陵主席コンサルタント
 物流の場合、売り上げは着荷基準となる。そのため、物流は顧客の売り上げの証明となる配送伝票などの保管が必要になる。しかし、現状の契約書では伝票の保管を義務付けたり、データのバックアップを規定したりしているものは少ない。伝票も、顧客側の監査で、抜き取り検査などがある可能性もある。その場合に対応できるように、整理して保管していなければならなくなる。
 もちろん、「今までよりも作業量が多くなる。そこで、IFRS対応の伝票管理を有料サービスにするなどすれば、ビジネスになるのではないか。それがビジネスチャンスだ」(花房主席コンサルタント)とした。
決算書を実例と共に。業界別に詳細に解説も
 既にIFRSに対応した決算書を出している企業がある。それが日本電波工業だ。花房主席コンサルタントは、従来の決算書の形式と、どこが異なるかを説明。数値の違いが、どこに出てくるかも解説した。
 「投資家目線になれば、今儲かっているという情報は不要。これから儲かるかが重要になる。その考えに至れば、今までのPL(損益計算書)からBS(貸借対照表)の情報が重要になる。これがIFRSの考え方の根底だ」(花房主席コンサルタント)。
 
 また、業界によっては、日本特有の売り上げ計上をしていることがある。それがIFRSでどうなるのか?百貨店や、商社、卸などの業界の特性を示しながら、事例を紹介していった。
 花房主席コンサルタントは「IFRSについては、2015年から強制適用になる。ただし、通常は過去3ヵ年の決算書が必要になるケースが多い。そうなると2012年から準備をしていかなければならない。IFRSは公認会計士協会と金融庁の企業会計審議会が情報を出している。その情報が基本なので、過剰反応する必要もない」と冷静になって対応することが大事とした。