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国土交通省▼官民連携で災害に備え 民間施設395カ所選定 

2012年03月29日

【輸送経済(http://www.yuso.co.jp/)】
 国土交通省はこのほど、広域災害時に物資保管や仕分けなどを行う拠点として全国395カ所の物流施設を選定した。昨年の東日本大震災で支援物資物流の混乱が起きた経験を踏まえ、民間物流事業者のノウハウや施設を活用。官民が協力する体制を整備することで、今後懸念される大規模災害に備える。
 昨年の震災では、当初物資拠点に想定していた公共施設が被災。民間施設の活用も進めたが、拠点数が不足した。
 (1)物流ノウハウのない自治体職員が業務を行ったことによる効率低下(2)物資搬入の調整窓口の混乱――なども発生。末端の避難所まで円滑に物資が届かなかった。震災時に物流事業者の力も活用した官民の協力体制構築が不可欠となっていた。
 こうした経験をもとに、国交省は昨年12月から大規模災害が懸念される関東、東海、近畿、中四国・九州で協議会を設置。国、自治体、トラック協会や倉庫協会などが参加し、災害時に求められる物流の在り方について議論を重ねてきた。
 災害時に利用可能な施設として選ばれたのは395カ所。(1)支援物資用供出面積が500平方メートル以上(2)新耐震基準に適合(3)交通アクセスの良さ――など一定の条件を満たし、物流事業者からも了承を得た施設をリストアップした。
 選定された事業者に対しては、非常用発電設備と通信設備を設置するための補助金を交付。平成23年度第3次補正予算で確保した4億3800万円のうち、調査費や議事運営費などを除いた3億7900万円を63施設に補助する。
 今回の選定について、国交省の金井昭彦参事官は「リストアップした民間施設は公共施設を補完する役割を担う。震災時の被災状況、荷主のスペースなどもあるので多めに選んだ」と説明。
 その上で「今後は物流事業者の派遣や費用負担などを含め、自治体と事業者で議論してもらいたい」とし、今回の協議会設置を機に自治体と倉庫協会との間で災害時協力協定の締結を拡大させていきたい考えを示した。 
 また、協議会の取りまとめでは、自治体の災害対策本部に支援物資物流の専門組織(緊急物資輸送チーム)を編成する必要性についても言及。
(1)災害対策本部のオペレーションや物資拠点運営における物流事業者の参画(2)行政による支援物資輸送に関わる情報の一元管理――など、民間事業者と国交省が自治体の緊急物資輸送チームに協力することで、災害発生から72時間以内に物資を受け入れられる態勢を整備するべきとしている。