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首都圏インフラ特集・京浜港▼国際拠点港湾目指し 

2012年06月18日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
選定前から進む集荷策
 「国際コンテナ戦略港湾」選定から丸二年を迎える京浜港。国内港からの貨物集積に向けた取り組みが着々と進む。
 東京、川崎、横浜の三港からなる同港は平成22年、アジアの主要港湾と並ぶコスト競争力やサービス体制構築を目指す戦略港湾として、阪神港とともに選定。釜山や上海など東アジアの港湾は近年、大型輸送船に対応した施設の整備や営業力強化を推進。日本発着貨物さえも釜山や上海で欧米向け航路にトランシップ(積み替え輸送)されるケースが増えている。
 対して、国は両戦略港湾のハブ機能を強め、26年までに東アジア主要港湾でのトランシップ率を半減。両港湾でのアジア発着貨物のトランシップを促し、将来の東アジアの主要港を目指す。
 課題は、日本発着貨物を同港に集め、欧米向け基幹航路を維持すること。同港への集荷施策は戦略港湾選定前から進められ、東京―盛岡間の海上コンテナ鉄道輸送や、リードタイム短縮・コスト削減を図るゲートオープン時間拡大を実施。港内輸送円滑化を図り、横浜―船橋など東京湾内ではしけを使いコンテナを輸送する仕組みも整えた。
 昨年度には北海道・東北からの集荷策として、近海郵船物流などが開設した三航路で内航フィーダー(※)モデル事業を開始。日本海側から鉄道で貨物を運び込む取り組みも進む。
内陸型ターミナル活用も鍵
 内陸部からの集荷は京浜港活性化の鍵。「北関東や南東北など内陸部は有力企業が多い。内陸部の荷主が使いやすい集荷の仕組みが必要」(正岡孝関東地方整備局港湾物流企画室長)。
 その基軸は、インランドデポと呼ばれる貨物集荷拠点機能を持つ内陸型コンテナ貨物ターミナル。内陸で集荷することで、内陸―港間の空コンテナ輸送削減も図れる。
 群馬県の太田国際貨物ターミナルは、輸出荷主、輸入荷主間でコンテナ輸送をマッチングする情報システムを開発し、ことし運用を開始。施設拡張へ、来年度にも近隣に同規模の施設を開設する。
 埠頭公社を民営化し、港湾の一元的経営を目指す港湾運営会社の設立も活性化の鍵。港湾運営に「民」の視点を入れることで、「弾力的な港湾使用料設定や、縦割り管理だった港湾施設の相互利用が可能になる」(同)。
 東京、横浜港では今年度中にも民間出資の特例港湾運営会社を設立。27年度までに経営統合し、一つの会社が京浜港を運営する体制にする。
 今後1~2年の集荷施策や体制整備の進ちょくが、京浜港が国際拠点港湾として生き残るための決め手となりそうだ。
 ※内航フィーダー…国内各港と戦略港湾の間で貨物を船で輸送すること。(水谷 周平)