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吹田貨物タ駅▼16日始動、百済も刷新 

2013年03月19日

 【輸送経済(http://www.yuso.co.jp)】
 鉄道・運輸機構、日本貨物鉄道(=JR貨物、本社・東京、田村修二社長)の共催で、4日、吹田貨物ターミナル駅(=吹田タ駅)のしゅん工・開業式が行われた。15日で85年の歴史に幕を下ろす梅田貨物駅の機能を、同駅と大幅刷新した百済駅に半分ずつ移管。ともにダイヤ改正が実施される16日に本格始動する。
 吹田タ駅(大阪府吹田市)は、昭和59年まで使われた吹田操車場跡地のうち約27万平方メートルを活用。62年の国鉄改革で梅田貨物駅の機能移転先に決定。地元自治体との合意を経て平成19年に着工。7年にわたり工事が進められた。
 26両(1300トン)編成のコンテナ列車に対応する荷役ホームを整備。ホームから直接コンテナを貨車に積むE&S(着発線荷役システム)方式を導入。リードタイム短縮、全国各地への中継機能改善を図る。
 東海道本線上に位置し「異常時対応能力、31フィートコンテナ輸送の利便性向上により、物流の高度化に役立てると自負」(田村JR貨物社長)。構内には倉庫や荷さばき場に加え、トラックが出入りする全長約3キロ、幅8メートルの貨物専用道路を整備。騒音対策も施した。
〝まごころ満載〟を目指す
 開業式には、整備事業主体の鉄道・運輸機構のほか、JR貨物、行政、地元の吹田、摂津市などから約200人が出席。石川裕己鉄道・運輸機構理事長は「伝統ある操車場が近代的な貨物ターミナル駅に生まれ変わった。JR貨物の新たな展開、輸送改善に寄与することを祈る」とあいさつ。
 田村社長は開業までの経緯、関係者への感謝を表明。「使用開始後は環境の維持向上に努め、コンテナ輸送の品質向上につながるよう〝まごころ満載〟の駅に育てたい」とし、通運事業者や荷主へ利用促進を訴えた。
使い勝手に期待と不安
 式典後の祝賀会では、通運事業者を代表し、新居康昭日本通運取締役執行役員と福田泰久センコー社長が祝辞。
 新居取締役は「鉄道輸送の歴史に新たな1ページが刻まれる。最も環境に優しい輸送手段として鉄道を利用してもらえるよう努め、地域経済活性化に貢献したい。安全を最優先課題に万全の体制で臨む」と決意。
 福田社長は「吹田タ駅開業と百済駅刷新は、大阪の鉄道貨物輸送の〝大改革〟。E&S方式で柔軟な列車運行が可能になるということで、駅を有効に使い、大いに盛り上げていきたい」と祝辞を述べた。
 通運業界、JR貨物双方から〝使い勝手の良さ〟に期待が掛かる吹田タ駅。一方、貨物専用道路の使い勝手、構内倉庫賃料の在り方、周辺住民配慮のため車両の出入りが制限されることを不安視する通運事業者は少なくない。
 両者の共通課題であるコンテナ増送とモーダルシフト促進に向け、文字通り〝使い勝手の良い〟駅にするには、JR貨物による今後の運営が大きな鍵を握る。
大幅刷新の「百済タ駅」
 梅田駅の機能移転を吹田タ駅と分け合う百済駅(大阪市)も大幅刷新。26両列車に対応できるようコンテナホームを拡張。「百済貨物ターミナル駅」として生まれ変わる。
 総重量24トン対応のトップリフター導入で、大型コンテナも取り扱い可能。「大阪南部地域の抜本的な輸送サービス改善を図る」(JR貨物)。
 またJR貨物の関連会社大阪鉄道倉庫は本社事務所と定温機能を備えた新倉庫(延べ床面積約1万8800平方メートル、3階建て)を駅構内に開設。16日に稼働させる。(水谷 周平)