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物流連「自然災害対策強化が焦点に」 

2019年02月04日

日本物流団体連合会(物流連)は1月22日、東京・千代田区の海運ビルで「新年の物流を語る会」を開催した。

田村修二会長は冒頭「物流の重要性を広く認識してもらうために会員企業の協力の下、大学寄付講座、物流業界研究セミナー、インターシップ、見学会のほか、教科書に物流を取り上げてもらうための働きかけを継続した」と2018年の活動を総括。働き方改革による物流人材確保の検討、自然災害による道路、鉄道、港湾、空港等の物流関連インフラ防災機能強化については、10月に国土交通大臣に要望書を提出したことを報告した。

続いて、JR貨物、全日空を含む物流各団体の代表者が、2018年の回顧と新年の展望と抱負を語った。

▼日本貨物鉄道 真貝康一社長
大規模自然災害が多発、7月の西日本豪雨では、物流大動脈の山陽本線が100日間不通となった。自然災害が複数箇所で同時発生する傾向があり、対策強化が極めて重要だ。東京貨物ターミナル駅構内にマルチ物流施設・東京レールゲール「WEST」を2020年2月に竣工する予定。陸海空との結節点として物流インフラの充実・拡充を図る。

▼全日本トラック協会 桝野龍二理事長
6月には政府の働き方改革法、12月には改正貨物自動車運送事業法が交付。競争のなかで業界が継続的に生き残るため、土俵を変えていきたい。標準的運賃の告示制度は、ドライバーを守るためにも重要だ。新たな荷主勧告制度は関係省庁と検討を続け、磨き込んでいく。

▼全国通運連盟 渡邉健二会長
山陽本線不通もあり、12月累計輸送量は前年同月比66・6%まで下落。代行輸送では限界があり、強靭化対策を国に要望したい。ドライバー不足は厳しさを増し、11月の有効求人倍数では自動車運転手が3・12倍、一般産業の1・63倍から2倍近く開いた。モーダルシフト受け皿としての取組みが求められている。

▼日本内航海運組合総連合会 小比加恒久会長
内航海運の貨物船輸送量は一年を通してほぼ横ばいを記録。自然災害時には被災地への生活支援物資などを輸送、社会的インフラとしての役割を果たした。船舶、船員の高齢化問題に拍車がかかり、労働環境改善が喫緊の課題。物流を支えるため、内航船員を魅力ある職業にする必要がある。

▼日本長距離フェリー協会 入谷泰生会長
災害時には救援物資輸送などを実施。昨年の業績は旅客230万人、乗用車76万台、トラックが126万台と横ばいを記録。14年ぶりの新航路となる室蘭・宮古港を結ぶ航路開設や、2021年春に横須賀・北九州港間の新航路開設計画は、物流や観光活性化として期待が寄せられている。

▼日本船主協会 武藤光一会長
世界貿易量は前年比2・7%(数量ベース)の伸びを記録。鉄鉱石は中国の輸入量がマイナスに転じたためー0・2%だった。2020年1月から硫黄酸化物(SOx)に関する厳しい規制が開始される。低硫黄燃料を十分な量が手当てできるか、価格面でも不確実な課題が多い。

▼全日本空輸 外山敏明上席執行役員
台風21号の影響で、関西空港が高潮による甚大な被害を受け、完全復帰まで3か月を要した。企業活動のサプライチェーン確保、BCPにおける航空物流の重要性が改めて社会で注目された。本年は航空貨物のデジタライゼーションを進めたい。

▼国際フレイトフォワーダーズ協会・航空貨物運送協会 伊藤豊会長
16年後半から鉱工業生産の堅調に伸び、先進国では貿易量の伸びが回復基調となった。日本経済は自然災害の影響があったが、全般的におだやかな回復が続いた。JIFFA会員の国際複合貨物輸送量(重量ベース)の輸出は対前年比10・6%増、輸入は同95%増で過去最高を更新。神戸港、関西空港の被害は我大変大きな影響があった。空港、港湾の浸水被害対策推進に期待する。

▼日本倉庫協会 木納裕副会長
昨年は地震、台風など、大規模発生が相次ぎ、倉庫事業者も被災した。災害発生時に物流業界が担う社会的役割に大きな期待が寄せられるが、引き続き災害対応力強化の支援を進める。ロボットやIoT技術を用いた荷役機器や物流システムの開発が積極化されるなか、コストや汎用性から営業倉庫への導入は慎重に判断せざるを得ない。しかし、近い将来、倉庫業界全体で導入可能な機器開発に期待する。