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セルフストレージはBtoCの手本 - 141 

トランクルームやレンタル収納スペースなどのセルフストレージは、ここ数年で完全に定着したといっていいだろう。市場規模は毎年約10%の成長を続け、平成25年には460億円に達したというデータもある。とはいえ“セルフストレージ先進国”のアメリカに比べればまだ10分の1。世帯あたりの普及率も0.3%ほどで、先進国では最低レベルという。まだまだ伸びしろがある市場といえるが、その一方で日本のセルフストレージ市場は早くも設備充実化の段階に入りつつあるという見解もある。主なポイントは管理人の常駐や空調設備、セキュリティ、24時間利用、駐車場、エレベーターの有無といったところだが、こうした設備を備えた施設は賃料や立地に関係なく稼働率が高いともいう。

これが企業向けの倉庫であれば何を保管するかによって求められる機能も設備も変わってくるのだが、セルフストレージの利用者はほとんどが個人。普段使わないものを何でも入れておくという使い方が多いため、個人宅と同等の環境に保管しておきたい、いつでも出入りしたいという要望が強い。いわば押入れの延長である。そのため商圏はコンビニ並みに狭く、自宅から数百メートルほどが基本といわれている。

日本のセルフストレージ市場でもうひとつ特徴的な動きが多機能化だ。一般的なトランクルームやレンタル収納スペースでは居住できないが、寝泊りしたりパソコンを持ち込んで仕事をしたりする利用者が後を絶たず、問題にもなっている。実はセルフストレージをアトリエや書斎として使いたいという要望は以前から存在しており、こうしたニーズに対応した施設も着実に増えている。ガレージやレンタルオフィスを併設したり、アトリエとして使用できるよう工具類をそろえたりした施設もあり、いずれも好調に稼働している。

さてこうした動きから見えてくるのは、セルフストレージ業者の対応の速さだ。ニーズを先読みし、施設を的確に設置していく手法はまさにBtoCビジネス。市場の反応があっても動かない、待ちの営業といわれる物流業界とは同じ「倉庫」を扱っていながら大きく異なる。物流業界もニーズの多様化がいわれて久しいが、多様化したニーズへの柔軟な対応は相手が企業であってもBtoC的な手法が有効とされる。セルフストレージの思考法や対応力から学べることも、少なくない気がする。

(久保純一)2016.03.20