物流不動産ニュース

物流、物流不動産、倉庫を網羅した
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二次元倉庫の時代、来たる? 

マインクラフトというゲームがある。ゲームといっても勝敗を決めたりスコアを競ったりするのではなく、仮想空間内に立方体を自由に配置して建造物を造り、そこでのんびり生活したり、冒険を楽しんだりするものだ。

仮想空間内の土壌、植物、鉱物、動物などは立方体のブロックでつくられており、基本的にはそのどれもが道具の原材料やブロックの素材として利用できる。これらはすべて自分で(もちろん仮想空間内で)調達しなければならないが、見方を変えれば調達さえできればなんでもできてしまう。壮大な建築物を建てるもよし、ふらりと旅をするもよし、牛や羊を飼って酪農するもよし、モンスター倒しの冒険にでかけるもよし。この自由度の高さこそが、マインクラフトの人気の理由だ。こうしたゲームは一般に「サンドボックスゲーム」といわれるが、マインクラフトはそのなかでも最も成功したもののひとつといっていいだろう。

このゲームのどこが物流や倉庫と関係あるのかと言われそうだが、実は長くプレイしていると溜まってくるのである。様々なアイテムが。で、この増えすぎたアイテムをどうするか。プレイヤーのみなさんの解決策は単純明快で、当たり前のように倉庫を建てて保管しているのである。

ゲームだからといって侮ってはいけない。搬入や搬出といった作業もプレイヤーキャラクターを操作して行わなければならないので、これらの倉庫は現実と同様、使い勝手に配慮したかたちに帰結していくのだ。もちろん建てるのにも現実と同様のプロセスを経る。立地からはじまって、アイテムを収納するのに必要な容積、構造、レイアウト、庫内ロケーション、拡張性と汎用性、作業性まで、検討材料は現実のものとなんら変わりない。ゲームプレイヤーの癖としては当たり前だが、やがて他のことはそっちのけで倉庫の効率性のみを追求し続ける人もでてくる。なかには自動搬送装置や昇降装置を持つ「自動倉庫」を造ってしまったプレイヤーもいるのである。個人が自動倉庫を持つなんて、もはや現実を超越している。

ネット上にはこういった倉庫の造り方やアイテムの分類法を指南しているサイトも珍しくない。前述の自動倉庫作成者などは別として、やはりゲームとはいえ素人がいきなり倉庫をつくるのは簡単ではないのだ。専門的なアドバイスが求められている点、これも現実に類似している。

ストレージというコンピュータ用語は物流由来だし、データの保管や分類は庫内ロケーションの概念がそのまま応用できる。プログラミングの考え方も、ロジスティクスや建築と共通するものがあるという。IT化がすすまないといわれて久しい物流業界だが、物流とITって実は親和性が高いのかもしれない。現にITが「倉庫化」しつつあるのである。

いずれパーソナルコンピュータのインターフェイスがAR化されたあかつきには、データファイルを取り出すたびに引き出しを開け閉めする動作をしてたりして。冗談ではなく。

 

 

久保純一 2017.09.05