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多目的スペースという穴埋め策 

多目的スペースをもつビルは、もはや当たり前になっている。普段は開放してテナントが利用できるラウンジやワークスペース、打ち合わせスペースなどとして使用し、会議やミーティングに使用する際は貸し切りとすることが多い。自由に活用できるスペースをテナントに提供することで満足度が上がり、貸し切りを有料にすれば収入も得られる。メリットの多い施策として定着しているといっていい。

昨今、この多目的スペースに変化が起きている。その大きなものが設置場所で、これまではエントランスホールや各階のロビーなど、既存の空きスペースに設ける例も見られた。しかしこうした場所への設置は、建築基準法や消防法などに触れる可能性もある。新たにもうけられる多目的スペースは、多くが貸室を転用しているのである。

不動産仲介各社が公表しているデータでは、賃貸オフィスは稼働率、賃料とも過去最高を記録。今も高止まりしているとされている。しかしそのデータが適用できるのは、立地が良いハイスペックな築浅大規模物件に限られている。足下を見れば、空きを抱える築古中小ビルはそこかしこにある。多目的スペースの設置は、空室を擁するビルにこそ有効にはらたくのだ。

多目的スペースでは賃料を収受しないから、厳密に言えば貸室ではない。稼働率や空室率に反映されないから、利回りにも影響しない。貸し切り利用が増えれば増収も期待できるかもしれない。空室をそのまま「募集中」にしておくより、いっそのこと多目的スペースとして活用した方がいい。そう判断するオーナーが増えているのである。管理の手間は増えるが、トータルで考えればビルの価値を上げることのできる施策だ。

さらに最近では、生産性向上を目的とした働き方改革にともない、ABW(Activity Based Working =時間と場所を選択できる働き方)が浸透しつつある。オフィス以外の働く場へのニーズが高まるなか、ビル内の多目的スペースを独立したワークスペースとして運営するケースも増えている。利用者を広く募集し、賃料以上の収入をあげるスペースも珍しくない。

穴埋め策として考え出され、定着してきた多目的スペース。すでに穴埋めという言葉ではくくれなくなってきている。

 

久保純一 2019.12.20

 

 


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