物流不動産ニュース

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<レポート>第3回「物流施設共同化研究会」(後編) 国土交通省との質疑応答編 

イーカーゴとイーソーコが7月31日に共同開催の第3回「物流施設共同化研究会」。後編では講演後に行われた意見交換と質疑応答をレポートします。

Q1 モーダルシフトは普及率が上向きだが、まだ少ないのではないか。JR貨物の料金が割高なことと、深夜にしか出発しないことが要因と考えられるが、国交省ではこれをどうみるのか

神澤 鉄道コンテナ輸送のメリットを実感して頂く観点から、全国通運連盟において新規荷主等を対象に「お試し輸送キャンペーン」を行い、運賃・料金に助成している。ダイヤについては旅客との兼ね合いもあり、難しい点とは認識している。

Q2 宅配便再配達はコンビニでの受け取りや宅配ロッカーなどで対応できるのか

神澤 再配達削減を目指し、環境省とも連携して、オープン型宅配ボックスの導入に支援している。首都圏の主要な駅で目にすることが増えたのではないか。来年度予算においても、引き続き支援するべく、関係省庁と調整して参りたい。

Q3 当社は50年前に施行された法律流通業務団地整備に関する法律に基づいて、10万坪での運用を続けており、国交省様には数々ご指導を賜り、お礼を申し上げたい。物効法が改正されて、過去50年間の課題を反映していただけるのではないかと少々期待していたが、今回はそこまで到達できなかったが、次回に期待する

中村 物効法の改正はこの後も続くと考えており、その際は物流事業者さんからのご意見とアドバイスをいただきたい。

Q4 IC周辺の開発が進むなか、調整区域の農転は地方自治体でばらつきがあるのではないか

神澤 自治体によってばらつきがあるという意見は何度か事業者さんから伺っている。開発許可制度運用指針を踏まえ、自治体が地域の実情に応じ、適切に運用することを期待している。

Q5 物効法は法人格が別の事業者であれば問題ないのか

中村 問題ない。典型的なのが倉庫会社とトラック会社による連携だ。物効法の目的はCO2削減と省力化の2点。その効果があるなら申請していただきたい。

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続いて、ファシリテーターとして参加したイーソーコの大谷巌一会長が、国交省との意見交換や質問を投げかけた。


大谷 現在は税制面を含め、いろいろな意味でチャンスが到来した。物流不動産ビジネスを推進していると、チャンスがピンチに変わることがある。既存の物流事業者は鈍感なのだが、逆に敏感なのが流通業の方々だ。「税制面メリットを活かすため、倉庫業の免許を取得するには、どうすればいいんですか」と熱心に多数のご相談をいただく。本研究会は会費無料で、プロのスタッフが付いているため、諸々聞いてもらいたい。
先ほどの質問にあった、市街化調整区域は地方自治体によって、認証しやすいエリアとしにくいエリアの温度差があるが、国交省ではどのように情報を入手しているのか

中村 開発行為を行う場合は、都道府県知事等の許可が原則として必要である。国土交通省は、物流総合効率化法第21条を踏まえ、「開発許可制度運用指針(地方自治法に基づく技術的助言)」において、市街化調整区域で、通常原則として許可して差し支えないものとして、「特定流通業務施設」を例示している。開発許可は自治事務であるため、都道府県知事等は、この指針を踏まえて、それぞれで判断している。
各地方自治体の開発許可の基準については、地方自治体のホームページに掲載されているので、確認してほしい。

大谷 共同保有・共同利用をする場合、倉庫の建替えは適用するのか

中村 倉庫の建て替えであっても物効法の認定の対象になる。但し、認定を受けるためには、「CO2排出量の削減目標」と「手待ち時間削減目標」を立てる必要がある。特に前者については、単なる倉庫の建て替えであれば、この倉庫に出入りするトラックの輸送フローに変化がなく、CO2排出量の削減につながらない可能性があるが、共同輸配送やモーダルシフト等を計画に加えるなどの工夫をすることにより、トラックの走行距離を短縮させる計画とすることができるのではないかと思う。是非、物効法の認定を検討してほしい。また、補助金と違い、税制特例措置は利用できる件数に上限はないが、適用期限があることにはご留意いただきたい。現在の税制特例措置の適用期限は、平成30年3月31日までとなっている。国土交通省としては、制度の延長を要望するが、今後、制度に変更がある可能性があるので注意してほしい。

大谷 ドライバー不足への国交省の改善策は?

神澤 喫緊の課題と認識している。特に若年層が業界に入ってこないことが問題だ。若年層が労働条件に求めることとして、休日をとれること、長時間の労働にならないことが重要なファクター。特に長距離ドライバーは泊まりがけの勤務となっているが、その対策として中継拠点までの輸送ルートを構築し、日帰り可能となる輸送を推進して参りたい。
これまで、トラック運送業界の会社間の競争は、サービスよりも価格を下げていく構図となりがちだったが、きちんとサービスを提供し、見合った対価を適正運賃として収受をできるようにしなければならない。
全産業おしなべて人手不足が叫ばれているが、自動運転や隊列走行の社会実験を進めている。省人化の取組みを進めていきたい。

大谷 若い人がトラックドライバー職に就きたくないのは、新人が運んでもベテランが運んでも運賃は変わらず、10年後の収入が現在も変わらないため、モチベーションが上がらず、将来に不安を抱いているから。その一方でコンマ1%の確率で頂点に上り詰める芸能人を夢見て、ダンススクールに熱心に通う若い人は跡を絶たない

神澤 以前、トラックドライバー労働力不足の調査で全国の運送会社を回り、多数のドライバーからヒヤリングをしたことがある。そこで「ドライバー職は底辺に見られて悔しい」という言葉が印象に残った。そこで、ドライバーをきちんと評価できる仕組みを作れないかと検討したことがある。大手事業者では、ドライバーを星で独自に評価する制度を採り入れている会社もあるようだ。業界団体から枠組みを作り、普及後に公的認定ができればいいと考えている。