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<レポート>Yahoo!アカデミア 伊藤羊一学長「イーソーコ物流改革の旗頭になる」 

物流不動産BIZは7月14日、Yahoo!アカデミアの伊藤羊一学長を招き、物流ワークショップ「Lead the self -先が見えない時代に必要なリーダーシップとは」~物流業界の未来を~を開催しました。

伊藤氏は、日本興業銀行からプラスを経て、2015年にはヤフーで企業内大学「Yahoo!アカデミア」学長として、次世代リーダーを育成するためのスペシャリストとして活躍。今年2月に発刊した「1分で話せ」(SBクリエイティブ)は11万部を超えるベストセラーとなりました。

伊藤氏の武器は、孫正義氏も絶賛したプレゼン能力。ソフトバンクで孫氏の後継者を育成する「ソフトバンクアカデミア」の募集があり、伊藤氏は軽い気持ちで応募、最終予選では孫氏の前でプレゼンを実施したところ「おもしろい」と孫氏の絶賛する内容となりました。

伊藤氏はほかにもグロービス経営大学院の客員教授として、ビジネスパーソン向けに教鞭を振るう、まさにプレゼンのプロフェッショナル。冒頭、伊藤氏は冒頭、自己紹介を行いました。

東京大学卒業のエリートでありながら、銀行員時代は売上を上げることができず悩みぬいた挙句に26歳でうつを患ったこと、取引先との商談中に気分が悪くなり、2時間もトイレで吐き続けたことなどを明かし「へっぽこからのスタートだった」と述懐しました。

また同僚と一緒に頭取に送った住専問題への提言が原因で、2週間後に地方に飛ばされたエピソードもあり、決して順風満帆ではなかったことを明かしました。

その後、取引先だったプラスに転職、物流を中心に活躍されましたが、東日本大震災が大きな転機となりました。それは伊藤氏の考えるリーダー感が大きく変わったから。

震災3日めの3月14日には、プラスでは東日本地域への出荷命令がかかりました。「震災で日常的に入荷するものが1週間かかった。物を欲しているのは東北だけではなく、全国で必要なものだ。選択を迫られ、被災地を中心に輸送をすることを周囲の反対を押し切った。自分の価値観、信念を信じるしかない。震災で意思決定することを覚えた」(伊藤氏)

そこでプラスでは新潟運輸の協力を得て、日本海方面経由で被災地への輸送を開始しました。

その後入社したヤフーで伊藤氏は譲れない思いを認識しといいます。伊藤氏が大切にすることは「人は変わることができる」「全てはフラット」「仲間は裏切らない」――の3点。「人が元気になるような事業作りをお手伝いしたい」と笑顔で語りました。

伊藤氏のプレゼンは話し方、資料にしても非常にシンプル。声の出し方、間の取り方など、計算し尽くされた見事な内容で一言一言に重みを感じました。

 

●「物流改革の旗頭を」トークセッション


伊藤氏とイーソーコ会長の大谷が登壇、フリートークでセッションを行いました。

大谷は物流業界のネックとなる低い労働生産性を再活性化できるのか、しがらみと忖度が業界での足かせになっている現状を述べ、ITを駆使して物流業界を改革していきたいと話しました。

これに対し伊藤氏は「私はインターネットかぶれではないが、今の流れをみると確実に全てのものにインターネットがつながることは確実。物流業界はマテハンやシステムで他の業界よりも抜きんでいる部分が多いため、徹底的に追及していきたい」「物流は荷主のわがままを優先する受託体質だったが、今は宅配クライシスで単価のコントロールが可能となり、物流の立場が強くなった。今がすごいチャンスではないか」と断言。

大谷は「物流に異業種が加わることで新しいことができるが、それをやろうとはしない。社の歴史や上司が立ちふさがるからだ」と話し、物流改革のニーズを述べたところ、伊藤氏は「これからイーソーコグループが実施する物流改革の旗頭的な役割をやる」と公言。お互いの進むべき道を確認することができました。

●「行動先を自分のマインドにインストール」ワークショップ

参加者全員に自ら歩んできた「ライフラインチャート」を10分間で記入させた後、4名1グループで25分間発表がありました。

伊藤氏は「自分を知ることは過去を知ること。過去は現在につながり、現在は未来につながる」と述べ、「経験を変えることで未来を変えることができる」と強く話されました。

続いて、ライフラインチャートから派生した「自分の譲れない思い」「どんな未来を造るのか」「明日からどう行動するのか」をグループディスカッションが行われました。

通常は30分のディスカッションを数回繰り返しますがが、過去を振り返ることで体調を悪くすることも多いとか。「今日は体験版だったが、自分自身を知ることがリーダーシップにつながる。今の自分を知るために過去を振り返る。これを永遠繰り返し、鍛えてほしい」(伊藤氏)

「素振りしないでバッターボックスにプロ野球選手はいない。明日の行動に結び付け、行動先を自分のマインドにインストールすることが重要だ」と伊藤氏のメソッドが公開、参加者にとって有意義な時間となりました。