物流不動産ニュース

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〈レポート〉JALPAセミナー『ポストコロナの時代、拡大する物流不動産のニューノーマル』盛況裡に閉幕 


日本物流不動産評価機構(JALPA)は11月24日、日本通運本社ビル大会議室で、第14回セミナー『ポストコロナの時代、拡大する物流不動産のニューノーマル』を開催しました。今回はコロナウイルス感染防止策として、会場とオンラインでの聴講するハイブリッド方式を採用しました。会場には100名超、オンラインでは300名弱の方がご参加されました。

開幕直後にサプライズゲストとして、片山さつき議員がビデオでご出演になり、「私が最も強く推進しているスーパーシティ構想と物流不動産は大きな接点がある。地方でもぜひお取り組みいただきたい。コロナで貿易量は減少したが、EU離脱後の英国と日本によるEPA、東アジアを中心とした15か国が参加するRCEPも署名に至った。これは日本が物流の中心的存在になる大きな流れとなり、今後はワクチン輸入など、定温物流に強みを持つ日本の物流業界が攻めに転じることができる。その動きをデジタル化できる時代が到来し、心から期待している」と述べました。

続いて、大谷巌一代表理事が登壇しました。大谷氏は10月より、前代表理事の座を望月光政氏より譲り受け、望月氏は名誉顧問にそれぞれ就任しました。大谷代表理事は「片山さつき先生とは以前、対談させていただいたことがある。特定目的会社のSPC法を制定、貸付債権や不動産証券化を実現したことについて、男では無理でしょう、女性だからできたのですかと聞いたところ、『片山さつきだからできたのです』と自信満々にお答えになられた。現在の物流不動産が隆盛なのは、片山先生が東奔西走していただいたことも大きな要素だ。私が在任中、全国の倉庫賃料相場発表、『物流施設調査員』制度の啓もうなど、コマーシャルベースで攻めの活動していきたい」と話しました。なお、片山さつき氏はJALPAの顧問への就任が内定しています。

 

推進協議会の河田榮司委員長は「今年はいろいろな面で歴史に残る年。世界的な祭典であるオリンピックを来年に控え、先を見据えて私たちは力を合わせてやるべきことが山積している。コロナ禍にECが大きく伸長したこともあり、首都圏の物流不動産空室率が0.5%まで低下、ほぼ満室状態が続いている。ポストコロナの時代に向け、物流不動産で何が起こり、これからどうなるのか、本日のご講演で見つかるのではないかと楽しみにしている」とスピーチしました。

〈第1部〉

「物流の現状・課題とこれまでの取組み」

国土交通省 総合政策局 物流政策課長

阿部 竜矢 氏

阿部氏は、現行の総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)が推進する物流生産性向上に向けた6つの視点(繋がる・見える・支える・備える・変化する・育てる)の取組みの詳細と次期物流施策大綱の策定に向けた流れを発表しました。閣議決定は2021年3月の予定、今年12月には検討委員会は取りまとめを行います。

 

次の物流大綱の主要要点案は、「物流DXや物流標準化によるサプライチェーン全体の徹底した合理化」「時間外労働規制を見据えた労働力不足対策の加速と物流構造改革の推進」「強靱性と持続可能性を確保した物流ネットワークの構築」の3点。「簡素でなめらか、担い手にやさしい、強くてしなやかな物流の実現が求められている」と阿部氏は語り、ウィズコロナ時代で安定的サプライチェーンを維持するための重要性を強調しました。

 

また、令和3年度 概算要求では「物流施設の有効活用の推進」で予算1500万円を希望額としています。新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした国内物流量の増大、物流ネットワークの多元化に伴い、物流施設に対する需要増加が見込まれることから、既存の物流施設の有効活用方策に係る調査、検討を行うことを明らかにしました。

 

「地域物流の課題と挑戦

〜四国物流調査からえたWith/Afterコロナ物流へのヒント〜」

日本政策投資銀行 四国支店 企画調査課 課長 

須釜洋介氏

須釜氏は冒頭、「EC需要の高まりに伴い、物流現場ではラストワンマイルの供給不⾜が顕在化した。一部のネットスーパーでは、遅配やネット購入の受付停止に至るなどの大きな混乱が生じた。ドライバー不⾜は継続しており、今後はより需給が逼迫した運べないリスクへの懸念が高まるだろう」と新型コロナが物流におよぼす影響を語りました。物流の生産性向上は大⼿企業を中⼼に進められてきましたが、今後は物流業界全体で⾃動化・省⼒化の動きが広く浸透し、生産性向上に向けた技術導入として「物流DX」への期待を表明しました。

〈第2部〉

「日本GLPが考える物流施設のこれから」

日本GLP 代表取締役 社長

帖佐 義之 氏

帖佐氏は物流不動産マーケットの動向として、(1)先進的物流施設の不足、(2)伸び続ける需要、(3)ECの拡大、(4)コロナで加速する物流施設需要、(5)物流不動産への投資環境の変化を挙げました。日本の先進的物流施設は物流施設全体5億7400万m2のうち約3100万m2の5.4%に過ぎず、 国民1人あたり倉庫面積はトップの米国の6分の1とされ、他の先進国に比べて極めて低い水準にあることを紹介しました。

 

また、コロナ禍でも順調な同社の開発・入居状況を挙げ、今年9か月間で昨年1年分に当たる約100万m2のリーシング契約を締結したことを明かしました。続いて、同社が開発中の物流プラットフォーム「ALFALINK相模原」のコンセプトを発表しました。

 

ALFALINKは、倉庫をオープンにすることで自社の物流クオリティ、職場環境をアピールする「オープンハブ」、電力や給排水・防熱等、工場用途や冷凍冷蔵倉庫にも対応可能な区画を準備、製造と物流などを同一施設で運営することで経営を効率化する「インテグレーテッドチェーン」、大規模一体敷地で新たな創造・ビジネスを加速する「シェアードソリューション」を強調。「物流業界の応援団を目指す」と帖佐氏は力強く語りました。

 

「金融機関から見た物流不動産」

三菱UFJ銀行 企業審査部不動産審査室 調査役 

加藤 雄一 氏

加藤氏は、「物流不動産には多様な業界関係者がさまざまな立場で関与しており、視点が異なる。今日は金融機関の立場・視点から見た物流不動産をお伝えして、相互理解の一助となって、物流不動産に関わる業界・市場の発展につながれば有り難い」と述べ、金融市場や融資対象としての物流不動産を紹介しました。

 

コロナとリーマンショックの影響の違いについて、リーマンショック時には不動産業、不動産オーナー、デベロッパーの環境悪化が中心でしたが、コロナ禍ではテナント企業が悪化したことを紹介しました。外出自粛に伴う実体経済の落込みや停滞から、ホテル・商業施設のテナントからの減賃要請が見られる一方で、物流不動産への投資家の投資意欲が維持している点、不動産の価格調整は現時点で限定的だと話され、セミナーは閉幕しました。

次回・第15回セミナーは、新たなテーマで来年10月開催を予定しております。