物流不動産ニュース

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〈レポート〉日経セミナー「コロナ禍で激変!~ロジスティクス戦略」に会長・大谷が登壇 

5月25日、日本経済新聞社がオンラインで「ロジスティクス戦略2021~ニューノーマル時代から探る物流改善の糸口」が開催されました。

基調講演に流通経済大学・矢野裕児教授、特別講演には船井総研ロジ・ 渡邉庸介ロジスティクスコンサルティング部長が登壇、物流業界が抱える課題と物流変革の方向性、コロナ禍で生き残るための戦略を発表されました。

その中、イーソーコ会長・大谷巌一の講演「激変期をチャンスに変えるための『物流不動産ビジネス』は200名を超える聴講者がリアルタイムで参加されました。大谷は競争が激化した既存物流市場を「レッドオーシャン」として大きく3点に分類、現状を紹介しました。

(1)フードデリバリー
参入著しいフードデリバリーのUberEats、出前館、Woltのビジネスモデルを紹介。「これまでの物流の基本だったハブ・アンド・スポークの流れが覆された」と大谷は指摘します。核となる物流拠点(ハブ)に貨物を持ち寄り、配送拠点(スポーク)毎に仕分けて運搬する輸送方式となるハブ・アンド・スポークではなく、フードデリバリー業者はフィジカルインターネットと連動させた効率的なルート上にいる配達員を利用して荷物を運ぶ考え方です。

(2)MaaS
次に大谷が強調したのは、あらゆる公共交通機関とITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステム「MaaS」。すでに欧州では本格的な取り組みが開始されています。

「MaaSで移動の概念が大きく変わった」と大谷は強調します。日本でも鉄道会社や自動車会社などが中心となり研究は進みますが、大谷は日本のトラック事情に着眼。営業用トラック(青ナンバー)は140万台、自家用トラック(白ナンバー)は600万台されている業ことから、「国交省がゴーサインを出したら、ドライバー不足、トラック不足、ラストワンマイル問題、移動困難者、過疎化地域への配送となる物流の危機が大きく緩和されるだろう」と大谷は展望しました。

(3)ファンドによる物流不動産大量供給
低金利を背景に物流不動産市場に投資マネーが流れています。拠点集約による優位性で物流不動産が注目されている中、「快適・環境・機能的の従来型倉庫より新3Kでも優れているのが物流不動産」、年間5000万円のコスト削減が実現するのが大型物流不動産の事例を紹介しました。

この先の2年間で約60万坪の新規物流不動産が開発され、関東地区だけでもこの5年間で120万坪の新規開発と見られていますが、イーソーコがビジネスチャンスとするひとつが、大型施設移転に伴う空いた倉庫の活用です。大谷はその一例として、倉庫から別の要素に改修する倉庫リノベーションの優位性を紹介しました。

空き家問題について、首都圏では10軒に1軒、地方では5軒に1軒の割合で空き家が出ており、この流れはさらに加速していくだろう。土地の所有者が不明な未登記地は2016年には九州の面積を上回り、2040年には北海道の面積に匹敵する大きさになるといいます。「不動産業界もシュリンクしているのが現状」だと大谷は話します。

そこで、物流業に収益性の高い、未開拓市場であるビジネスが物流不動産ビジネスです。大谷はここでひとつの図を示します。


3行3列で等間隔配置いる9つの点を一筆書きで1本の線につなぐ「ナインドットパズル」です。 「解答を見れば納得できるが、私も解けなかった。創造性に富み、枠の外で考えるラテラル・シンキングの発想が必要ではないか。これこそが物流不動産ビジネスの発想の原点」と大谷は、業界の枠を超えたところにチャンスが生まれることを明確に示しました。

「まだまだ物流不動産ビジネスのブルーオーシャンは続くだろう。逃げればピンチ、挑めばチャンス ピンチの波をチャンスに変えて新業界創りに挑んでいきたい」 と、大谷は最後に締めくくり、ビジネス参画を呼びかけました。