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民主党の公約違反、マニフェストは特売チラシ − 第4回 国家戦略会議と物流

 何度も変わる総理大臣に支持率の低迷は話題にもならなくなった。熱狂の夏に政権交代が行われたが、実質には何も変わっていない。バーゲンチラシにも見えた「お買い得商品」一覧のマニフェストは、庶民にとっては何よりうれしい言葉が並んでいた。減税、無料化、子育て支援、各種の業界助成、結局はどれ一つとして守られそうも無いというのが最近の実態だ。
 民主党には旧自民党と社会党、無所属無頼漢が混在しているから、保守VS革新の対比で言えば自民党政権とあまり変わらない、と見た方が良かった。時々社会党路線の変に平等主義が織り込まれていて、おかげでワーキングプアを救うのに生活保護という政策が増えたのは困ったものだ。
 政治に経済を変える力があるのか? 今日はこれがテーマなのだ。

 政治=国家の産業育成が成功した例が過去にあるのかどうか、を振り返ってほしい。
公共工事主体の景気刺激策は、確かに建設業界を甘やかして来た。競争を避けて談合という弱者連合を作ってしまった。エコ減税という補助金制度も、実態として一時の値引きに過ぎず、耐久消費財に必要な買い替えサイクルを崩してしまい、購買の波がいっそう大きくなってしまった。
 電波行政の変更に伴うテレビの買い替え奨励や強制も同じように、サイクルが崩れた。
今話題の消費税についても、導入の目的が社会保障だったはずなのに、法人税減税と引き換えに導入された事は、もう忘れてしまったであろう。
 国はいつも税収不足に悩み、徴税機関は新税をいつも企画している。企業が新商品を企画するように、国は機会あれば増税を企むものなのだ。それを繰り返して来ている。政治家はウソをつくし、地位を得れば賄賂を求めるのは中国4000年、我が国2000年の歴史に繰り返されて来た事なのだ。
 最低限の安全と生活を維持する事だけが国の役割と割り切った起業家は多い。日本の自動車産業も関連するゴムやタイヤ、プラスティックや電子機器は、国に守られた覚えは無かったはずなのだ。
 狭い国家、道路を造る必要や原油を輸入に頼らねばならない日本で、どうして自動車産業が国家の基幹産業に育つと信じた者がいるのだろう。
 だから日本の活力は起業家の創造と苦心に成り立ち、奇跡と世界中から賞賛されて来たのだ。
 日本は貿易立国なのだと小学生が習っていても、GNPの実態は家計消費が60%を占めるお買い物中毒の国民性である事を忘れている。輸出が景気を牽引して来たのは、自動車家電を高い価格でアメリカが買い続けて来ていたからだが、すでに貿易の相手は中国に変わっている。対中国外交はどうなっているか、弱腰領事しかいないではないか。
 国家の動きを知らぬのは馬鹿だが、政治家の発言や政党のマニフェストに頼るのはほとんど効果がない事を改めて覚えておく必要がある。
 企業を育て従業員を守り、100年続く覚悟があるなら、自らの目と耳でマーケットを作り、育ててゆかなければならない。多少の風向きが国家の動向にあることを覚えていれば、チャンスは必ず手にする事が出来る。意見広告にどれだけ金を使っても世論は動かず、政治も変えられないと覚悟しておいた方が良いだろう。
 政治に頼るのは隣人に哀れみを乞うのと同類と言われても仕方が無い。床屋政談というのは、相づち期待の独り言なのだから、民主党や政党のマニフェストに期待するのは「しょーがねぇよねぇ」と終わるだけなのだ。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)