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日本の6重苦とは?産業界はどう見ているか − 第1回 国家戦略会議と物流

 新年おめでとうございます 
 今年は辰年、人類創造の干支です。天空を駆け巡り、神出鬼没の荒技を駆使する脅威の動物です。これにならい、我が国の再生が祈念されています。昨年来より言われ続けている、経営の六重苦とは事実でありましょうか。物流業界への試練は本当にこのような外圧によるものなのでしょうか。年初こそ、原点に立ち戻り振り返って見たいと思います。

1)意図せざる円高:為替は国際間の取引よって変動します。日本の円が強くなったというより、アメリカの財政不安や経済動向によるドル安が原因です。貿易産業はドル決済がまだまだ主流ですが(なぜ、ヘッジしておかないか、という疑問もあります)、そのために100万円の輸出製品は目減りがひどく、利益を削ります。逆に、資源燃料エネルギーは、為替差益が生じていて、輸入品は大幅に値下がりする余地がありますが、その話題があがらないのは、古くから日本の成長は輸出によるアメリカという巨大市場があるからだ、という幻想です。今、貿易先はアメリカからアジアに大きくシフトしています。決済はドルではなく、円であり、元であるはずなのです。

2)高い法人税:昭和世代から法人税はことある事に下がり続けています。法人減税の代わりに話題の消費税が導入された事実を忘れてはなりません。国家を支えるのは法人ではなく、消費者なのです。諸外国と比べてはいますが、ずっと昔から日本の法人税は高く、だから企業は利益が出せないというのでしょうか。黒字企業は法人申告をしているわずか25%しか存在しません。税率ではなく税額が足を引っ張っているというのは詭弁です。

3)貿易自由化の遅れ:相手国の関税障壁を指していますが、TPPによって解放されることが予想されます。1次産業の反発や反論があるにも関わらず、グローバル化からは逃れられませんから、自由化は解決されるでしょう。しかし、相手国関税が高いために競争力がない、というのも詭弁です。我が国が貿易で儲けていた時、相手国関税の話題などありませんでした。

4)労働者派遣法による雇用規制:製造業への派遣禁止が法制化されるメドがたちません。けれども、労働者=消費者の抑圧は、デフレを促進する訳で、企業コストを立てるか市場購買力を立てるかのジレンマは確かにあります。
 大企業はそもそも雇用を確保すること=消費者の囲い込みを行っている訳で、高い給料が高い購買力につながった時代。つまりは三種の神器=住宅、家電、自動車 こそ、製造業界がそのまま消費市場を形成していたのはすでに過去のことです。

5)温室ガス効果による生産抑制:確かに京都議定書が頓挫したにも関わらず、CO2
排出規制が続くのは不思議です。しかし一旦制度となったものは戻らず、これは大小企業に共通の足かせでしょう。

6)震災影響、電力不足:昨年の最大のリスク顕在でありました。しかし、東北地区のインフラや建設業界にとっては大いなる追い風です。一時的な低迷は脱することが確実なので、東北マーケティングという戦略性が重要となります。電力不足はデフレギャップ解消につながりました。生産抑制が価格効果を生むはずでしたが、これも嘘でしたから、受給バランスによる価格戦略のミスが露呈したにすぎません。

 さて、このように六重苦は単純に見ても、今に始まったものではなく、対面から見れば追い風にもなり、チャンス到来とも言える事象に過ぎません。デフレ傾向や景気の悪さは震災前から既にあり、20年も続いてきています。
 生産量の低下は今に始まったことではなく、貿易の相手は北米からアジアに代わっています。物量の低迷は生産に原因があり、さりとて流通業界の活況は局所的であれども、きちんと存在しています。CVSであり、通販であり、健康医療化粧食品業界であります。
弱音を吐けば限りなく、夢を追えば龍のごとくに空は無限に広がっている。そんな気概で今年を過ごしてゆきたいものです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


国際物流総合展2021