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双方優位の契約はあるか − 第10回 コントラクトマネジメント(契約)

 物流契約に伴う公正取引委員会の摘発が確実に増加しています。下請法違反、つまり契約の当事者間での、優越的地位の濫用による支払い拒絶や役務の押しつけなどが対象になっています。契約書があっても、書かれていない事について立場を利用した圧力です。経済的な金額で示される事件は、直ちに摘発改善されていますが、役務やサービスの要求については証明することが難しいので、公取委も「駆け込み寺」のような相談窓口を設けています。被害に遭っているように感じる際には、弁護士よりもこちらを優先して利用すべきでしょう。法律事務所はすべて金銭がらみに問題を拡大しがちですから、役務やサービスの査定調査が必要になってしまうからです。

 契約はこの連載の初めに説明したように、当事者間にとっては双方平等であるべきものです。対価の支払い条件が書かれているわけですが、妥当な金額によって双方が納得したことに違いはないのです。支払い条件や時期の操作についても双方協議の対象であり、一方的な減額や支払いの遅延を認める根拠はどこにもありません。その意味では、当初から契約は双方にとって優位妥当なものであるはずです。

 しかし、人間関係が時間の経過と共に弛み、和んでいくのと同じように、企業間の取引も所々でルーズになりがちです。「いつものように、よろしく」というあいさつが役務や支払い条件に及ぶこともあることでしょう。それが、あるときから地位の違いによる優位と劣位に別れるとしたら、それは双方平等の本質を離れたときです。
 直ちに協議事項として、事実の確認と条件の変更を契約書に照らし合わせて確認し、必要に応じては条文や覚書の改正に向かわなくてはなりません。特に契約当初には双方で未確認の事態や外部環境の変化によって、徐々に登場してくる仕事や取引の変化を契約書にトレースしてゆかねばならない事態はよく起きるものです。そのために、契約は期限を切っており、常に双方で協議できる準備が施されているものですが、現場や当事者レベルだとどうしても成り行きで放置されがちです。

 いずれにせよ、契約は企業間の責務と対価をきちんと定めたものですから、条文から離れたところでのビジネス行為は、いつか破綻する危険があるし、いざというときの証拠能力の問題にも通じます。定期的な条文のトレースと付属文書の改訂が必要であることを確認しておきたいものです。
 特に物流活動では、利用しているシステム機材の操作方法、伝票情報などの手続きのマニュアルや工程図など、時を経て変化してゆくものですから、付属文書の改訂は頻繁に行う必要があります。定期会議などで、契約条件の洗い直しや改訂作業を議題に挙げる事を忘れないようにしたいものです。そのことが、双方優位であり、平等の契約の精神と実務につながるものだからです。決して、払う側が強いという意識も態度も許されるものではないということも、コンプライアンス社会でのマナーであることを忘れないようにしたいものです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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