物流不動産ニュース

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契約で自分の首を絞めないように − 第4回 コントラクトマネジメント(契約)

 前回内容にあるように、契約は当然のように「双方平等」なのです。頼んだり、委託したり、お願いする時には、どこまで無償、どこから有償、それはどのように計量できるのか、という経済則が必要になります。
 物流業界では、運送と倉庫業務について過去の規制から料金の定め方が明確になっています。運送・倉庫の標準約款という契約書のモデルが決められており、国土交通省のホームページからダウンロードできるようになっています。
 また、ビジネス契約の多くは、代理店業務、販売業務、業務委託などのモデルが、こちらは日本法令という書式やフォームの販売会社から手に入れる事が出来るようになっています。
 しかし、3PL業務や物流作業の様々を想定した契約書のモデルはありません。各社がそれぞれの経験と実績と手直しによって、独自に作られたものがあるだけです。その多くは、料金の定め方すら標準的なものは無く、また業務の規定や定義でも曖昧さがたっぷりふくまれるものがあります。
 どんな作業の事を入荷受けと呼ぶのか、その場合の料金の定め方は、1個、1本、1枚、1トン、1ケース事になるのか。などと、実に多様で複雑で、でも案外あっさりと契約書には書かれていたりするものです。
 入荷料金、保管料金、作業料金、出荷料金、運送賃、保険料、その他には、伝票作成料、値札取り付け料、商品検査料、棚卸し料、物流管理業務料、・・・様々な呼び名の業務が各社に存在します。
 物流業界でもこれらの不統一は、これほど問題視される物流コストの実態である事をふまえて、なんとか標準的な3PL契約書が出来ないものかと悩み、調査し、苦労している最中なのです。2〜3年前からようやく実態調査やアンケート方式でのデータ収集が始まったばかりです。

 そんな危うい状況ですから、仕事の能力や料金の明らかな規定をきちんと定めておかないと、不足の事態際には弁償、賠償、保険要求などの問題が生じます。すべてはお金で決着できませんから、営業活動の継続や顧客評判、業界での地位問題まで発展する危険性があります。一生懸命取り組んでも、契約書の一文や一項目の不備や手落ちによって、大問題になるのです。

 私は今までの経験から多くの物流契約書を手がけてきました。業種や商材によって本当に多様な契約があるので、簡単に標準契約をお示しする事は出来ませんが、項目ではなく、条文の構成に付いては決着が付きつつあります。それが「3PL契約項目」と呼ぶもので、以下のような条文が必要と見なしています。

1条 契約の目的
2条 契約の期間(業務期間、設備償却、解約条件)
3条 業務定義(指示、伝票、データ、操作、場所の指定)
4条 機密保持(守秘の範囲、期間)
5条 安全対策(事故報告と予防措置)
6条 義務と責任(コンプライアンス、再委託、善意の管理者責任)
7条 管理責任範囲(弁済条件、帳簿責任、過失範囲)
8条 検収と清算(料金の発生、設定方法、清算手段)
9条 契約の解除、更新、終了義務
10条 業務の監査(説明、運用点検、外部監査)

<契約付帯事項、覚書>
1 契約書に述べていない細則
2 合意事項の確認
3 契約成立後に合意を要する項目
4 料金表、清算検収方法
5 貸借資産、備品、償却資産の一覧表
6 標準作業の仕様書、マニュアル、手順、点検書
7 使用する情報システムの仕様書、IT全般統制評価
8 保険

 これだけでも驚かれるでしょうね。でも、実際には多くの企業が類似の契約書を整えて、それでもなお、記載されない事項についての事前協議や紳士裁定を繰り返しながら、物流ビジネスを続けているのです。書かれた事がすべてではありませんが、書かれていない為に損害を被ったり、避けられた被害を受けないために、契約の作成には十分な知識と経験を反映させておくことが大事なのです。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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