物流不動産ニュース

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紛争手段と契約の重要性 − 第6回 コントラクトマネジメント(契約)

 紳士協議で決着できず、どちらも妥協点を見いだせなくなってしまった場合には、「出る所にでて決着を付けよう」という言葉が自然と出てくるでしょう。これは非常に危険な状況です。たとえ事件がなにがしかの手段で決着して、白黒が出たとしても双方が納得するとは限りません。それに僅かな期間であっても、業務中断や当事者同士の感情問題がこじれてしまった場合には、その後の業務契約の根底にある信頼関係が損なわれ、結果的に契約の中断や廃止ということが容易に想像できるからです。
 ありとあらゆる手段を講じて紛争を避ける、というのがベストポジションであることは当然です。しかし、妥協点の総額が膨れあがったり、影響費用の見積もりが相当額に上げられたりするような事態となっては、とても当事者間や企業間の経営レベルでは決着することができなくなるでしょう。
 第三者を通じて法廷訴訟の準備に入ることになります。
 弁護士や裁判所は民間に開かれた機関といえますから、相談から始まります。訴訟の根拠となる法律があるかどうか、という点やそもそも争うための事実認証資料が揃っているかどうか、など素朴なレベルから相談によって訴訟の可能性を探ります。手慣れた弁護士や弁護士会の相談センターでは、随時相談を受け付けており、訴訟に対する正しい知識と想定できる決着をアドバイスしてくれます。
 国民生活センターでは、ADR(裁判外紛争可決手段)という裁判を使わない紛争決着の相談を受け付けています。ADRは、Alternative Dispute Resolution の略称で、仲介和解の手助けをするサービスですが、事業規模によっては本訴訟を進めることになるでしょう。
 少額訴訟制度とは、想定する被害金額、金銭の支払いを求める額が60万円以内の訴えについて、即時審理、即時判決の裁判制度です。1~2時間で決着がつきますし、書類等の準備を含めても1ヶ月以内で終えることができる裁判制度です。訴訟額が少ないので弁護士を立てずに、個人が申し立てを行うことも容易ですし、手数料費用も少額で済みます。
 争う金額が少額でなく、ADR仲介や和解も難しいとなれば、本訴訟となり弁護士のサポートが必要になります。この場合にも弁護士事務所は訴訟のメリット、デメリットについてきちんと説明をしてくれるはずですので、十分に納得してから申し立てを行うことを考えなければなりません。つまり、このビジネス契約は勝っても負けても継続できないかも知れない、という十分なリスクを覚悟することが重要です。
 更に、弁護士や法廷訴訟を進めてゆく上での経済的なデメリットの把握です。弁護士は事実認定のための活動を行いますから、現地に出向いたり、証拠を調べたり、関連情報を集めたりという活動のための着手金、そして勝訴となった場合の報酬が必要になります。
およそ1000万円を争うとなると、現金で100~300万円の負担が必要となります。商品製品、信用や営業権となると金額の査定が難しく、勝訴となっても金額的メリットがほとんどない、ということも当然起こりえます。その場合でも弁護士事務所は現金としての経済的価値に基づいた手数料や報酬を要求しますので、この点は十分に検討する必要があります。
 また、勝訴となった場合でも相手に手元不如意、つまりは払う資金がないという事態では、別の裁判によって強制執行を申し立てなければなりません。「払うべし」、「取り立てる」は、それぞれ別の裁判が必要だと言うことは、私たちは実感しずらい点ですが、事実として覚えておく必要があります。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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