物流不動産ニュース

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文書と効力(責任と義務)− 第5回 詳解 物流不動産関係法令

日本法令という会社があります。文具事務器に代理店を置き、黄色の看板で「法令書式販売」を手広く行っています。契約書の代表格といえば、会社の設立や金銭貸借、駐車場やアパートの賃貸借、住宅の請負工事や私たちの給料計算など、およそ4000種類の契約文書のプレ印刷版を販売しています。

購入してきて空欄を埋めれば立派な契約書やビジネス文書の出来上がりで、ホチキスの止め方や提出先の役所・出張所の住所まで付録が付いています。

ビジネス上の取引や約束を交わすときには便利な会社です。ところが今時は手書きのメモも使わず、ワード文書で契約書や取引条件を相手に渡すでしょう。電子メールもホリエモン事件や村上ファンドの時には立派な証拠になりました。

かつて、ロッキード事件では名刺の裏に書かれた「ピーナッツ」が決定的な収賄の証拠になりましたし、民社党の偽メールは議員辞職につながりました。

昭和初期には手形の詐欺に髪の毛を挟んで偽実印を使った光商事事件というのもありました。

文書とハンコは事件や裁判の時には非常に重要な証拠になります。逆を言えば、口頭ではどんな会話や録音があっても証拠にはならず、文書こそが強力な事実となるのです。不動産を売買する、賃借する、期限を決めて利用するなどの権利関係のやり取りには、文書と意思表示のハンコが重要です。口頭での契約が有効なのは現物と代金の交換などにしか、有効ではありません。

不動産では代金の精算までに時間が掛かりますから、予約や仮契約という手続きを踏むことがあるのですが、この場合にはハンコの有無で意思表示が確定します。ハンコと署名は同じ効力を持っています。

直筆であれば、約束を交わした証拠になり意思の確認をしたことになります。パスポートにサインすることがありますから、日本の書類もだんだん欧米型になってきたのですね。

ビジネス文書を作ってサインやハンコを押すとき、その瞬間に出来事を振り返ることが大切です。どんな条件だったのか、なぜサインすることにしようと思ったのか、このハンコがどんな義務をもたらすのか。瞬間の迷いが身を守るのです。次回は、間違った契約、交渉についてです(続く)。

イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵