物流不動産ニュース

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デジタル化の歓喜と脅威 digit fault(第20回) 物流マネー70兆円のゆくえ

仮想通貨が危ういと言われている。デジタル通貨は実態がなく、盗まれても気づかないと言われていたが、追跡可能であり、どこにあるかも当局は把握しているという。盗難流出しても、所在が分かるなら「盗難ではなく移動」という窃盗に関する法解釈問題かもしれない。

キャッシュは絶対的な基準と思われてきたが、こんな風に簡単に移動させられて、手が届かなくなるのなら、タンス預金の有り難さにも分があることになる。

日本は1000兆円を越える国の借金があるというが、それはタンス預金に代表される国民の保有資産(預貯金保険不動産株券)とイコールにある。いわば移動しているに過ぎない。

世界中の投資預金が今や日本の物流施設に移動しているとみなすなら、この国には多くのファンがいることとなり有り難いことだ。

物流を人海戦術で乗り切れた時代は終わり、システム投資で競争する時代になっている。デジタル化は作業速度と精度を保証して現場に歓喜の渦を招いた。今までの注力、熟練、訓練はただひたすら単純化されてベテランの居心地が悪くなった。

コストダウンに効果をもたらしたデジタル化は、その後には広まりすぎて更に安く、広く行き渡り、それ無くしては成り立たないほどに物流の基盤になった。
狙いは正しかったのか?

知識と技術は敷延する事で価値をもたらすが、デジタルメリットはすぐさま終わり、開発した事業者の先行利益はわずかなままで世界に供する事になるのが予想できる。

人が関わるサービスは、再現性が不安定だからこそ価値があり、熟練や余剰の価値を生み出していた。

デジタルは完全コピーが可能で再現にも抵抗がない


技術もマネーもデジタル化が進むなら、そこに価値はなくなるだろう。
世界はデジタルメリットによって無償のサービスで溢れる事になっている。特許や発明権利で守られるには法制度国家や検察権力が機能している国々に限られており、70億人が生活する、生きるための産業ではコピーも許されるからだ。

発明は瞬間の成果であり、すぐさま広まり普遍化するのはデジタル化の宿命である。
職人技に許されるアナログの優位性はここにある。
よって、ビジネスはアナログの再現不可を避けながら、アナログとデジタルのハイブリッドで止めておかねばならない。優位性や先行利益の源泉はここにしかないからである。

 

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>