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経済成長を測る新しい尺度 − 第10回 新経済成長戦略と物流不動産

 皆さんの会社は、売上げも利益も前年割れでご苦労な事、心配なこと、憂鬱なことと拝察しております。事業を絞り、人員を削減し、ありとあらゆるコストに手を入れて、ムダとムラを無くすために日々奮闘されている。その結果がまもなく生まれようとしています。
 「変わるべし」意識、行動、意欲と現状打破が効果を生み出すときには、業績という数字が変わる前に働く職場の雰囲気が変わるはずなのです。
 笑顔が生まれ、かけ声が飛び交い、互いに励まし功労を称える姿勢が職場を正してゆくはずです。変化とは職場の一人一人が生み出すエネルギー以外に原点はありません。
 低い安易な目標ではなく、かなり厳しい、高く厚い壁だからこそ乗り越えるために仲間が必要だったはずです。
 職場に笑顔があふれる、その裏にはしっかりと報酬の裏付けがなければならない。人はただパンのみのために生きているのではなく、幸福には経費が必要だからだ。
 経済指数ではなく幸福指数が必要だ、と民主党は語り、社会福祉や貧困、失業率の改善を国民に誓ったが具体性はなかった。それより前から国際競争力はマク ロ指数だけでのことであり、国民一人当たりの所得は先進30カ国の中で下から10位だし、失意の象徴である自殺率や貧困率は群を抜いて恥ずかしい実態。
 政治が国民を幸福に出来ないなら、企業家は従業員を幸福にする目的を持つべきであろう。自社だけでなく得意先を含めた、小さなコップの中で繁栄を目指さ なければならない。身の丈にあった、というのは慎ましやかさを意味しているが、我が社我が得意先だけでも一人当たりの付加価値を上げ、その成果を配分でき るように心がけたい。後生に託す問題がこれ以上大きくなっても、自分と家族、知古のある仲間達だけでも正攻法によって収益と所得を維持してゆきたい。そん な目標を明確に持つことにより、戦略と戦術が定まってくるはずだ。
 一人当たり売上げ、利益、収益率、平均給与それらがコップの中での幸福につながる。

 社会主義が崩壊して20年、世界に資本主義の大勝利宣言をしたはずだが、その実、富は不公平きわまりなく偏り、強欲が世界を席巻して大不況となっ た。その反省は進んでいるとは思えないが、我が社我が得意先には反省をふまえた新たな誓いを持ちたい。ならば路は開け、欲なき成長は許されるであろう。
 繰り返す。変化は自らが生み出すもので、変化によって人は表情を変え、努力は明るいかけ声になるものだ。企業家と従業員の一体化以外に、我が社と我が得 意先を変えることはできない。何も世界を変えよ、飽くなき欲望を発揮せよと鼓舞するものではない。コップという手の中に幸福と充実と進化をもたらすには、 もっと一体感を維持しなくてはならない。縮小均衡を意味していない、市場の拡大を抑制しているのではない、現状を肯定しているのでもない、ただ従業員の尺 度を超えるような計画は疲弊と失敗があるのだ。
 すべての事業計画に新しい尺度を取り入れよう、一人一人への期待と成果を保証した経営計画に転換しよう。役割は緩くなく、目標は低くなく、ただそれぞれが最高の努力によって、チームとして、企業組織として届く目標を設定することで変化が起きるに違いない。
 忘れてきた家族経営に似ているかも知れないが、勝利したはずの資本主義の顛末と市場に任せた強欲がもたらした人災はあまりにも大きく、我が国だけに傷が癒えないなら、慣れた手法に戻るのが得策と思うのである。
 マクロデータはもう良い、新聞もほどほどに、株価もばくち打ちのささやきと思えば、我が社我が得意先にできる幸福指標はそれほど難しいものではないことに気付くだろう。
(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント・花房陵)