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金融工学入門 finance teck(第11回) 物流マネー70兆円のゆくえ

金融とはそれをビジネスになると考えた者が使う用語である。
金は天下の回り物であって、欲しい時に足りなくて、余ることなどあり得ないのが当たり前だからだ。しかし、金でビジネスをする機関投資家、金融機関、デリバティブ商品、不動産証券などのサービス産業が発達するに従い、目を離せなくなっている。何より収益性が高く、付加価値額も大きいので、これを基幹産業にしたイギリス、シンガポール、スイスは安定した経済成長を続けてきた。

我が国も金融立国を目指すとしたが、
高い法人税やガラパゴス規制が多く、進まない。

金融工学の原理は案外単純なもので、時差や地域差、タイミングや制度の隙間に
チャンスがある事を見逃さない。ノーベル賞受賞のブラック、ショールズ両氏は
高度な計算式から確率とタイミングで先物取引の公式を見つけ出した。
シンガポールの年金基金はその運用を日本の物流センターに見出した。世界的な
低金利時代にあって、日本の賃貸物件情報だけが割安だと気付いてしまったから
だ。

金融業界で裁定取引とは、時差や地域差で割安な投資案件を探して差額を得る方
法だが、安く仕入れて高く売ると言う、シンプルな原理である。

日本の不動産価格はバブルが弾けた事によって、基準や指数がなくなった。一斉
に安くなり、元値に戻って来ない。しかし、それは売買価格であり、賃貸条件は
大きな時差がある。
地代水準は価格の長期金利で決まるのが原則なのに、賃貸条件は割高なままで推
移しているのだ。

開発売買価格と賃貸運用収益では大きな収益が生まれている。

低金利で融資を受け、不動産投資を行い、賃貸運用で高収益を上げることができ
ているのだ。ビルや住宅に比べてコンクリートの躯体だけの物流センターは、高
い投資効率を上げている。問題はそのことに気づいたのが外国資本家だったこと
なのだ。悔いて空を仰ぐだけだ。

 

<イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント 花房陵>