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赤字国債と財政改革 − 第4回 経済政策用語解説

●税収の内訳は、所得税、消費税、法人税の順

 日本の税収は40兆円、かたや国の一般会計での国家予算は100兆円(24年度概算要求)ですから、60兆円が足りません。足りないから借金しているので、毎年の国債発行額が40兆円オーバーとなっているのです。国債には2年~30年満期がありますので、毎年満期になって払い戻さねばならない=借り換えしなければならない国債があります。
 それらの累積額が現在855兆円、国家予算の10倍規模です。24年度も170兆円の発行というか、新規借金を行っているのです。しかも100兆円は借り換え債ですから、返すために借金している、稼ぐ4倍も借りている状態にあります。

 こんなことは日本の歴史上初めてです。というか、バブル崩壊20年で爆発的に借金が増えていて、税収が足りない上に社会保障費が毎年100兆円もかかるのだから、仕方がないという事態なのです。特に年金や医療保険という収入以上の支出が財政を破綻状態にまで追い込んでしまいました。そのことのによる政治一揆が、民主党による政権交代劇だったことはよく覚えていますよね。

●財政改革とは収支バランス

 財政改革とは税収を増やし、社会保障費を減らし、国家予算を小さく小さくしようというのが本来の目的です。それができない理由は、1に経済政策が機能していない 2に社会保障費が削減できていない、3にバランスをとる政策ではなく、赤字国債に頼る財政、ということが言われています。

 個人家計や民間企業なら、とうの昔に破綻、破産している状況なのですが、国家だとなぜかまだ立っていられる状態にあるのが不思議なのです。

 今、話題に上がっているのはデフレを脱却できたら、経済が成長したら、消費増税によって税収を強制的に10兆円ほど増やしたい、という自民党政権の目論見です。
 日本のGNPは460兆円で家計消費が300兆円ありますから、5%増税は15兆円の増収となると踏んでいるのです。
 このように、税収や社会保障の支出を計算しているのが、おもに財務省なので、国債の発行額や累計残高の返済計画を立てているのも財務省です。
 民主党の前の野田総裁は財務大臣経験でしたから、このあたりの計算には詳しかったはずですが、できもしない財政政策に「事業仕訳」などというパフォーマンスを演じていたのです。

 いわく、財政にはムダが多い、公務員の人件費は高すぎる、国会議員は多すぎる、などと国民に大きな期待を持たせたのは罪でした。結局民主党政権下でも国債発行は減らなかったし、公共投資も従来通りの大盤振る舞いでしたから。

●許される借金はどれくらいだろう

 国債の多さは世界先進国でも共通の悩みです。それは、世界同時不況のせいもあり、極端に低下した税収と社会保障の自然増に収支が合わないからです。
 税は国民活動の中から、許される範囲でしか徴収できませんので、企業には成長を、国民には幸福をもたらす政策が必要なのです。今、日本はデフレ対策として企業向けの成長戦略を描こうとしていますが、国民への幸福の追求は出遅れています。
 安全安心が流行語になるように、日本に住むことのぼんやりとした、不安感が私たちの生活を覆っています。政治家には経国済民の政策をバランスよくとってもらいたいものです。

 国のために、将来の次世代のために、というわずかな犠牲や奉仕の気持ちが珍しいと言われるような世論では、赤字国債も財政バランスも取りようがありません。今、私たちは心情的、心理的な安らぎをもっと政治に期待しなくてはならないのでしょう。すべてが経済指標だけでなく、安全と安心が満たされる生活がなくては、社会保障費はどれだけ費やしても足りないことになるからです。
 東日本大震災の現場で掲げてあったポスターに心を打たれました。

 『奪い合えば足りない、分かち合えば余る。全国民からの支援を大切にしましょう』

 こんなスローガンに納得できるような生活感が必要なんですね。 

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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