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所得再分配施策 − 第8回 経済政策用語解説

 私たちの所得、簡単にいえば給料や報酬はどのように決まるのでしょう。
賃金は2つの方法で決まることが証明されています。それは、市場価値、マーケットでの需給情報や参考情報によるものと企業の分配率です。
 マーケット情報には様々なものがあり、年齢や経験、業種や業界の平均値などが、多くの就職情報誌などで公開されていますから御存知ですね。経営者にとっては、このような情報と自社の給与体系の見直しを毎年行っているはずです。不満なのは、国で定める最低賃金と生活保護給付金が逆転している実態です。
 必死に汗水流して働く時の参考単価が時間給で600円程度なのに、生活保護世帯で給付される額が月額20万円なら、働く意欲はなくなるからです。

 もう一方の分配率では、製造業の労働分配率やサービス業の人件費率などで、計算される額です。こちらは企業の原価指標などで参照することができます。その場合の問題は、「何人で分配するか?」という率の問題ですね。

 大学生に人気の職種は、給与賃金が高いという評判があります。それは、企業の分配率が大きいと同時に、人気企業そのものの収益性が高いという理由です。

 産業政策は国家の安定と国民の福祉のために取られるルールです。国民への所得分配は福祉や富をどのように考えているかの重要な政策です。
 弱き者として高齢者や生活保護世帯、働きたくても働けない失業者や寡婦世帯などが保護の対象です。平等以前に格差を解消することが、幸福への道と考えるなら、富める者から貧しい者への給付が自然に行われる制度が必要です。日本ではこのような思想から、所得税については累進課税を取って来ました。富める者からはより多く、貧しきものからは逆に給付を行うという政策です。

 一億総中流と呼ばれた時期もありましたが、ワーキングプアとか経済的な理由での自殺者が減らない現実を見ると、所得分配が必ずしも成功していない実態があります。
 それは富める者からの徴税と貧しき者への給付がバランスを欠いていることに他なりません。最低賃金と生活保護給付、所得税の累進制の改定、法人税の減税、納税義務違反の懲罰的罰則の軽減など、税には多くの問題と課題解決がなされていない現実があるのです。

 デフレ景気のために税収不足が問題となり、それでも社会保障費関連の総予算が100兆円を越す実態で、政府が取り組みを始めているのが消費税増税政策です。
 お上が決めたことだから、という無関心では済まない事態が刻々と迫っていることに気づかなければならない時代です。
 デフレ経済であっても上場企業は最高益を上げて来ました。それは、リストラによる賃金カットや賃上げの抑制措置の結果です。
 かたや大企業の不祥事や経営破綻による事態でも、救済のために国家支援を行っている現実。どうも辻褄が合わないことがどんどん増えてきているという点に目を向けなければならないのです。そのせいもあり、3年前に政権交代が行われましたが、その顛末もお粗末な状況でしたから、国民の関心が薄れるのは仕方のない事かもしれません。

 けれども、政策は最低限度のルール作りにあるわけなので、自助努力やがんばった結果の成果までを保証する必要はありません。ましてや税収不足を社会保険のように国民皆負担によって、所得分布を操作するような政策は、はっきり反対表明をする時期ではないでしょうか。

(イーソーコ総合研究所・主席コンサルタント 花房 陵)


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